ロッジア

loggia。吹放し廊下。伊国で生まれた建築意匠の一つであり、ファサード に列柱或いは無柱で外に開かれた廊下を配したものを指す。「開廊」「涼み廊下」ともいわれる。
地上階にある場合は一般に「回廊」と呼ばれるが、上層階のみにそれを配したり、また多層階に用いた例もある。ブルネレスキが、フィレンツェの捨子保育院のファサードにロッジアを配したのもが有名である。

キャノピー

canopy。天蓋形の庇。屋根状の張り出しテント。商店の店先やホテルの出入り口などに日除けや雨除けの目的で差し掛けられた庇。

ギャラリー

gallery。使用範囲が広い語。側面が部分的または全体に開かれ、柱で支持された屋根を持つ歩行用の空間のこと。細長くて狭い廊下や室を指すこともある。また、劇場の2階以上の客席や、体育館などの内壁から突出している中2階の細長い観客席を指す。

アーケード

英/arcade。柱で支えられる連続したアーチや ヴォールト のことで、またそれを用いた吹放しの通路や歩道のことをいう。
ゴシック建築の「身廊」と「側廊」の間にある列柱群を「グランド・アーケード」とも呼ぶ。都市において、通りに面して建つ建造物には、天候に左右されない覆いを持った店舗や露店が立ち並び、多くの人々の利便性に大いに供した。1784年、仏国のパレ・ロワイヤルに建設された「ショッピング・アーケード」は、最も初期の例とされる。19世紀には、鉄とガラスの屋根で覆ったものも現れ、伊国の「ガッレリア」、仏国の「パサージュ」などが知られている。

バラスター

baluster。欧州の伝統的な建築における手摺を支える「手摺子・手摺束」のこと。通常は、断面が円形で繰型(モールディング)が施される。また、椅子の背凭れとして用いられる垂直材も「バラスター」と呼ぶ。

巻鼻段板

西洋建築において、階段の一段目を曲線形に広めにとり、片側或いは両側の端部を円形に拡張して、装飾的な親柱を建てるという意匠上の工夫を施す。その部位のことを指す。

ニッチ

niche。壁龕(へきがん)。壁を凹状に抉った部分で、しばしばアーチや半ドームで覆われ、エディキュラや花瓶などの置かれる壁の窪みのこと。

エディキュ―ル

aedikule。小祭壇のこと。古代の凱旋門や市門、教会堂などに見られるように、彫像を置いた「ニッチ(壁龕)」の周りを円柱と ペディメント によって神殿風に構成したもの。

パティオ

patio。スペインやラテンアメリカの住宅に見られる、噴水や植栽などを配した中庭のこと。食堂や応接室・居間などに連続する屋外空間で、床はタイル張りで内部と一体的に使用する。アーケード や列柱廊によってロの字型に囲まれることが多い。

アトリウム

atrium。古代ローマ時代の住居の中庭は、玄関奥に配置された広間で、中央上部に大きな「コンプルウィウム(天窓)」があり、その縁は4本以上の円柱で支持されていた、そして、その下に雨を受ける「インプルウィウム(水盤)」が置かれ、床には大理石が敷き詰められ、人々が集まる社交場の役割を果たしていた。この内部的外部空間である広間のことを「アトリウム」と呼んだ。
尚、20世紀後半以降の現代建築において、エントランスホールの天井や壁面にガラスを多用した、吹抜けのある開放的な空間が設けられるようになり、それを「アトリウム」呼ぶようになった。