ピナクル

pinnacle。小尖塔・飾り尖塔。ゴシック建築において、「バットレス(控壁)」の頂部や飾り破風の両側に設けられるさまざまに装飾された小さな塔。ヴォールト の横圧を均衡状態に保つ目的で設けられる場合もあるが、装飾的な意味を持つものが多い。

ランタン

lantern。ドゥーモ状の屋根などにおいて、その頂部に設けられ、自然光を取り入れ、換気の役割も果たすための採光塔のこと。後に形状の類似性から、ポータブルな照明器具の呼称ともなる。

パイロン

pylon。塔門と訳される。古代エジプトの神殿の入り口にある門のことで、二つの台形状の建造物を結んだ構造である。因みに、工事現場で見かける「コーン」の正式な名称は「パイロン・コーン」である。

アプス

apse。バシリカ の内陣部の奥において、外に半円形に張出した部分のこと。

トランセプト

transept。袖廊(そでろう)。翼廊ともいう。教会堂建築において、「身廊」に直交する廊が設けられて十字形(ラテン十字)の平面を形作ったときの腕の部分。
従って、南北に走るこの廊は、南の袖廊と交差部と北の袖廊よりなる。「バシリカ」は、地形的な制約がない限り、基本的に東向きに建築される。そのため人々は堂内で東方向に進んでいくことになる。因みに、方向を決めるという「オリエンテーション」というのはここに由来していると言われている。つまり「オリエント(東方)」へ向かうという意味である。

アイル

aisle。側廊。教会堂建築於いて、「身廊」の両側にある細長い廊下状の部分。

ネイブ

nave。身廊。教会堂建築において、中央の細長い広間の部分。ラテン語で「船」を意味するnavisから出た語。「ナビゲーション(航海・航海術)」も同義語である。

トリビューン

tribune。古代ローマの指揮官トリプヌスに由来する英語のカタカナ表記で、バシリカ における最高行政官の席のことが転じて一般に「演壇」を指すようになる。また、教会堂建築内の「グランド・アーケード」と「トリフォリウム」の間に設けられる開放された2階部分の階上廊を指す。信徒席や聖歌隊席として用いられた。

バシリカ

basilica。古代ローマ時代に、裁判や商取引などのために用いられた公共建築物。通常は細長い矩形の平面を持つ建物で、内部は列柱によって三つの廊下状の空間に分割される。最も奥の、しばしば半円形に突出した部分は「アプス」という。また、前記の形式が移されたキリスト教会堂もバシリカと呼ばれる。
通常、会堂の前面に柱廊で囲まれた「アトリウム」が設けられ、それと本堂との間には「ナルテックス」が挿入される。会堂内部は、列柱によって中央の「身廊」と両側の「側廊」とに分割され、柱の上部は水平の「アーキトレーブ」または「アーチ」で連結される。その上部には、「身廊」の天井の高さと「側廊」のそれとの差を利用して採光用の「クリアストーリー」が設けられる。そして内陣部の奥には、半円形の「アプス」を張り出す。この形式は欧州の教会堂の一形式として長く保持される。

パビリオン

pavilion。元は、建物から突出している装飾的な部分や、大きな建物から分離されている建物をいう。後に、庭園・公園・レクリエーション施設などに設けられる軽快な装飾的構築物や、博覧会で個々の出展者によって設けられる展示用の一時的な建物を指すようになる。