檜皮葺

檜の樹皮を屋根葺材としたもの。止水性がよいことで屋根勾配は比較的緩くすることができ、屋根全体の姿が軽快で優美。また、杮葺や杉皮葺等に比して耐久性や防火性もよい。宮殿や社寺建築などに用例が多くみられる。

広縁

古くは「寝殿造」においては「母屋」と「庇」の外側に「孫庇」に相当する「広庇(ひろびさし)」を設けた。
「母屋」と「庇」は、同一のレヴェルであるが、「広庇」は「切目長押」一段分だけ低く、身分の低い者が伺候する形式をとる。尚、「庇」と「広庇」の間には「蔀戸(しとみど)」を建て込み、「広庇」の外側の柱は、特に「角柱」を用いる。(「寝殿造」の主たる柱は「円柱」で、格を下げて「角柱」とする。)「広庇」の柱間は「吹放ち」にされ、その外側に「簀子縁(すのこえん)」を附す。

広小舞

数寄屋大工(住宅系)が「広小舞」及び「淀」と呼ぶ部材を、宮大工(社寺建築系)は「茅負」及び「裏甲(うらごう)」と呼ぶものと理解してよいだろう。
尚、「小舞(木舞)」とは、通しで用いる細長い角木のことで、一般には、真壁納まりの土塗り壁の下地として組む「棧木」や「割竹」のことをいう。「広小舞」とは、「通しで用いる広幅の細長い角木(棧木)」のことを意味する。
「淀」は、「よどみ」であって、「流れが止まってすらすら進まない」ことを意味する漢字である。おそらくその辺りから名付けられたのであろう。

日吉造

神社本殿形式の一。大津市坂本の日吉大社にみられる。三間二間の身舎の前方と左右の三方に庇がめぐられ、一つの屋根の下にまとめられたもので、正面は入母屋造平入、背面は庇がなく袴腰風となるので聖帝造ともいう。