あ〜お
アーキヴォールト(あーきゔぉーると)
archivolt。飾り迫縁(せりぶち)アーチの前面ないし内面の繰型(モールディング)のこと。特に、中世の教会堂では、正面扉口のアーキヴォールトは彫刻で豊かに飾られる。
アーキトレーブ(あーきとれーぶ)
architrave。エンタブレチュアの最下部を構成する水平の部分のこと。一般に開口部の周りに付けられる装飾用の枠組みをさす。
アーケード(あーけーど)
英/arcade。柱で支えられる連続したアーチや ヴォールト のことで、またそれを用いた吹放しの通路や歩道のことをいう。
ゴシック建築の「身廊」と「側廊」の間にある列柱群を「グランド・アーケード」と……
アーツアンドクラフツ運動(あーつあんどくらふつうんどう)
arts and crafts movement。19世紀後期に英国で興った工芸運動。W.モリスは、工業生産の組織に抵抗するために、手工作の復活を主張したが、自らP.S.ウェッブと共同して自宅をつくり……
アールデコ様式(あーるでこようしき)
Art Dēco。1925年に開催された「パリ万国装飾美術博覧会」を契機にして流行した様式。一般に、「アールヌーヴォー」の時代に続き、欧州および米国のニューヨークを中心に1910年代中葉から1930年……
アールヌーヴォー様式(あーるぬーゔぉーようしき)
Art Nouveau。19世紀末から20世紀初頭にかけて、欧州の各地に流行した芸術様式。この名称は、1896年に美術商ビングがパリに「アールヌーヴォー」という名の店を開いたのに由来するとされているが……
相決り(あいじゃくり)
板を張り合わせるとき、乾燥しても隙間があかないように、隣り合う板の厚みをそれぞれ半分づつ欠きとること。接合する木材を半分づつ欠きとることを相欠きという。
アイル(あいる)
aisle。側廊。教会堂建築於いて、「身廊」の両側にある細長い廊下状の部分。
閼伽井屋・閼伽棚(あかいや・あかだな)
明障子(あかりしょうじ)
現在では、「障子」といえば「明障子」のことのみを意味するが、元は「衝立(ついたて)」や「襖(ふすま)」などの総称であった。社殿の両脇奥に配される「脇障子」にその名残が認められる。
当然のことながら、……
アクロテリオン(あくろてりおん)
akroterion。ペディペントの頂部及び両側の下端に置かれる彫像や装飾のための台。また彫像や装飾おもいう。
上土門(あげつちもん)
平安時代にあらわれた門形式の一。2本の円柱の上に冠木を水平に通し、男梁と女梁によって屋根を受け、平らな屋根の上に、土を蒲鉾型に乗せ屋根勾配を付けたもの。屋根の両端には柄振板がつく。後世には勾配の緩い檜……
揚見世(あげみせ)
主に関西の町屋において、みせの間の正面・軒下において柱外側に軸吊されている縁台。縁台の幅は半間、長さは1~2間。縁台の脚は外側のみに付けられ、縁台をまくり上げた時、脚が台裏内に収まる。大戸や出格子の横……
足駄欠(あしだがげ)
飛鳥・奈良様式(あすか・ならようしき)
教科書的には、仏教伝来とともに、中国の唐を中心とする建築様式が日本に移入され始めてから、日本で国風化されていく過程も含め、総じて「和様」と呼ばれることが一般的ではある。しかし、飛鳥や奈良の建築様式には……
アストラガル(あすとらがる)
astragal。古典建築における、小さな半円形の突出した繰型のこと、大きなものは「トルス」と呼ぶ。
アティック(あてぃっく)
attic。屋根・上屋。一般に屋根裏部屋のこと。アティカとも呼ばれ、主要な エンタブレチュア の上部に設けられた中2階のような部分。
アトリウム(あとりうむ)
atrium。古代ローマ時代の住居の中庭は、玄関奥に配置された広間で、中央上部に大きな「コンプルウィウム(天窓)」があり、その縁は4本以上の円柱で支持されていた、そして、その下に雨を受ける「インプルウ……
アプス(あぷす)
apse。バシリカ の内陣部の奥において、外に半円形に張出した部分のこと。
阿部美樹志(あべみきし、1883~1965)
大正から昭和時代にかけて活躍した建築家・土木技術者。旧姓は菅原。日本最初の鉄筋コンクリート高架鉄道の設計者。通称「コンクリート(混凝土)博士」と呼ばれる。岩手県一関市生まれ。札幌農学校(現北海道大学)……
雨落石(あまおちいし)
雨落ちによって地面が凹むのを防ぐために、雨落ち部分に据えた石やまたは軒下に沿ってめぐらした石組みの総称。雨樋のない時代は、屋根の雨水をそのまま雨落石に落とすか、雨落溝(あまおちみぞ)で受けていた。
亜麻組(あまぐみ)
「疎ら組(まばらぐみ)」とも呼ばれる。「和様」の建築およびその系統のものに見られ、柱上だけに「斗栱組」を配置し、柱間の「中備(なかぞなえ)」には、「間斗束(けんとづが)」や「蟇股(かえるまた)」を配す……
阿弥陀堂(あみだどう)
平安・鎌倉時代に浄土信仰が流布するにつれて天皇・貴族・武士などによって寺院内や邸宅内に建立された仏堂。内部に極楽浄土の教主・阿弥陀如来像を安置するのでこの名がある。建築的には、常行三昧堂を源流とする方……
アメリカンルネサンス(あめりかるねさんす)
American Renaissance。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、米国の公共建築で多く見られた建築様式で、仏国のエコール・デ・ボザールで学んだ米国人建築家が中心的な役割を果たしたことから……
綾筋(あやすじ)
蟻壁(ありかべ)
内法長押の上方に設けられる蟻壁長押と天井に挟まれた部分の丈の低い塗りこめた壁。天井の格縁や竿縁の位置が柱とずれる場合があるが,蟻壁を設けるとそのずれが目立たなくなる。
蟻継ぎ(ありつぎ)
木材接手の一。一方の端に部材に鳩尾状(蟻形)の突出物、他方の端に同形の穴を掘り結合させる。引張力に対して抵抗できる、簡単で広く使われる接手である。蟻よりも引張り強度が勝るが、接合長さが必要となる鎌状の……
アントニン・レーモンド(あんとにん・れーもんど Antonin Raymond 1888~1976)
チェコ出身。
プラハ工科大学卒。F.L.ライトと共に来日し、国内に事務所を開設。
日本人建築に大きな影響を与えた。戦前には、前川國男、吉村順三 らが、戦後には増沢洵もレーモンド事務所で学んでいる。……
イオニア式オーダー(いおにあしきおーだー)
Ionic order。小アジアに由来し、東方に起源をもつ オーダー。細身の円柱を有し、ドリス式より軽快かつ優雅で、概して フルーティング(溝彫り)が施される。柱頭の渦巻装飾によって明らかに識別される……
池田谷久吉(いけだやひさきち、1897~1956)
大阪を拠点に伝統的な寺社建築などの秀作を残した建築家。泉佐野生まれ。市立大阪工業学校(現大阪市立都島工業高等学校)卒後、大阪府庁に入庁。退職後、西区に池田谷建築事務所を開設。作品には、池田谷久吉自邸、……
石場建て(いしばだて)
民家において礎石の上に直接柱を立てる工法。柱を直接地中に埋めて自立させる掘立て建てに対する語。礎石と接触する柱下端を石の合端という。現在の基準法では認められていないが、石と柱の摩擦力が有効に働く。
石本喜久治(いしもときくじ、1894~1963)
山田守 らと 分離派建築会 の構成員の一人。神戸市生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒。大阪の竹中工務店に入社。白木屋の設計を機に退社、後に石本建築事務所を設立。作品には、山口銀行東京支店、朝日新聞社……
板蟇股(いたかえるまた)
板唐戸(いたからど)
扉の歴史は、軽量化と経済性を目標とした技術改良史でもあるといえる。飛鳥・奈良時代の扉は、重量があり、軸吊りでなければもたない。上部を「鼠走り」「楣」で、下部を「敷居(閾)」で吊り込んでいる。
法隆寺……
板棧戸(いたさんど)
板葺(いたぶき)
木の板で屋根を葺くこと、または葺かれた屋根。杉・椹・栗などの赤味がちの部分が用いられる。柾割より水が浸透しにくい年輪沿いに引き割った板が使われる。形状寸法によりにより、厚さ3分~1寸・幅3~5寸・長さ……
一枚戸(いちまいど)
一文字棚(いちもんじだな)
一間社(いっけんしゃ)
神社本殿において身舎の正面柱間の数で何間社と呼ぶことが多く、柱間が一間のものを一間社という。春日造りの社殿の多くがこれに相当する。また、形式の古いものにみられる柱間が二間の二間社には、出雲大社と住吉大……
伊東忠太(いとうちゅうた、1867~1954)
日本最初の建築史家・建築評論の開拓者。米沢市生まれ。東京帝国大学造家学科卒。「法隆寺建築論」など、明治年間の建築思潮を大きく方向付ける数々の論文を発表。作
品は、橿原神宮(重文)、平安神宮(重文)、……
伊藤正文(いとうまさふみ、1896~1960)
大阪市建築課長として、学校施設・美術館などを多く手掛けた建築家。早稲田大学理工学部建築学科卒。辰野片岡建築事務所を経て大阪市技師着任。退職後、大阪市立大学家政学部教授を務める。作品には、旧大阪商科大学……
豕扠首(いのこさす)
水平の「敷桁(虹梁)」に「扠首竿」という左右二本の斜材(登梁)を合掌形に組み、その中央に「扠首束」を意匠上挿し込んだ形式のものをいい。実際には、「扠首組」の二等辺三角形でトラスは完結しており、「扠首束……
猪の目(いのめ)
「猪の目」とは、形状そのままに「心臓型(ハート型)」とも呼ばれる文様のこと。建物の「妻飾」の「懸魚」や錺金物の「六葉・八双」、巫女の持つ「神楽鈴」など、さまざまなところに見つけることができる。「猪の目……
猪目懸魚(いのめげぎょ)
「懸魚」とは、屋根の切妻部分の頂点や、その下の傾斜した箇所に垂下させた、装飾性と雨除けの機能を兼ねた彫刻のことである。名称・実体とも中国からの直輸入であるが、何故か韓国建築には、基本的に「懸魚」は下が……
茨垂木(いばらだるき)
今井兼次(いまいけんじ、1895~1987)
合理的・機能的なモダニズム建築からは距離を置き、建築に職人の手業を残す作品をつくった建築家。東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒。母校の教職に就き長く務める。(教え子に池原義郎らがいる)帝国美術……
芋目地(いもめじ)
straight joint。タイル張りや 煉瓦積 みなどの目地において、上下2段以上連続した目地のこと。
規則正しく伸びる芋の根に似ていることが由来とされている。水平・垂直方向の目地が一直線になる……
入母屋造(いりもやづくり)
「母屋」の切妻屋根に、下屋である「庇」が回された屋根形式のこと。即ち「母屋が内に入った屋根」のことを意味する。
入子板(いれこいた)
岩﨑平太郎(いわさきへいたろう、1893~1984)
大正・昭和初期に奈良で活躍した建築家。奈良県吉野生まれ。吉野実業学校(現奈良県立吉野工業高等学校)木工科建築部卒。亀岡末吉・武田五一 に師事する。作品には、吉野駅舎、旧制畝傍中学校(現畝傍高等学校)校……
岩本博行(いわもとひろゆき、1913~1991)
大阪府に生まれる。大阪市立都島工業高校建築学科卒。竹中工務店に入社、小林三造の指導を受ける。日本建築素材の色彩を用いて、建築に統一感を与えることを持論として、職人(大工棟梁)の伝統を受け継ぐ建築家と目……
岩元禄(いわもとろく、1893~1922)
歴史主義から離れ、建築の芸術性を追求した大正期の建築家。鹿児島県生まれ。東京帝国大学工科大学建築学科卒後、逓信省に入省。(大工上がりで逓信省に在籍した 山口文象 は、岩元から大きな影響を受けたといわれ……
ウィーン・ゼツェッシオン(うぃーんぜつぇっしおん)
Wiener Sezession。1897年、オーストリアのウィーンに興された芸術革新運動。画家のG.クリムト及びO.ヴァーグナーの弟子J.M.オルブリヒ、J.ホフマンらがその中心。
彼らは、英国の……
ヴィクトリアン様式(ゔぃくとりあんようしき)
Victorian style。英国のヴィクトリア女王(在位1837~1901)治下の美術・工芸の様式。厳密には、特定の形態に基づく表現様式というよりは、同時代における一般的傾向を包括的に示す語として……
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(うぃりあむ・めれる・ゔぉーりず William Merrell Vories 1880~1964)
米国出身。英語教師として来日後、建築事務所を開設。近江八幡市に居住し、教会・学校・病院・個人宅などを設計。メンソレータムを日本に広めた実業家でもある。作品には、日本基督教団京都御幸町教会、同大阪教会、……
ヴォールト(ゔぉーると)
vault。ドームと同様にアーチを基本形とした屋根で、アーチを水平に押し出したカマボコの形状の屋根を「ヴォールト」と呼ぶ。
もっとも単純な形態は「筒型ヴォールト」で、半円或いは 尖頭アーチ を水平方……
卯立(うだつ)
①近世民家において建物の両側に設けられた瓦葺等の小屋根付き袖壁。本来は身分の象徴を兼ねていたが、明治以降は単なる装飾と化す。防火を兼ねている場合も多い。
②室町時代の民家とくに町屋において妻側の小屋……
内田祥三(うちだよしかず、1885~1972)
東京生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒。元東京帝国大学総長。佐野利器 の下で建築構造学を研究。日本の鉄筋コンクリート・鉄骨構造学の基礎を築く。「内田ゴシック」といわれるデザインパターンの建物を多く設……
内転び(うちのりなげし)
内法長押(うちのりなげし)
内法貫(うちのりぬき)
「和様」の建物にあって、「内法長押」の後方にある「貫」のこと。「内法貫」が横力に対する構造的役割を担い、「内法長押」は化粧材的な扱いと考えてよい。室町時代には、「内法貫」は壁の中に塗り込まれるようにな……
浮造り(うづくり)
腕木(うでぎ)
兎毛通(うのげどうし)
馬乗り目地(うまのりめじ)
breaking joint。タイル張りや 煉瓦積 みなどの目地において、上下2段以上連続した目地のこと。
真馬踏み目地と片馬踏み目地(破れ目地)とがある。
梅鉢懸魚(うめばちげぎょ)
梅鉢紋は五角形であるが、輪郭がほぼ六角形に近い曲線をもったものを「梅鉢懸魚」と呼び、曲線を用いず直線ばかりでできたものを「切懸魚(きりげぎょ)」と呼ぶ。これらは「拝み」の箇所のみで「降懸魚」としては用……
裏甲(うらごう)
浦辺鎮太郎(うらべしずたろう、1909~1991)
岡山県倉敷市生まれ。京都帝国大学工学部建築学科卒後、倉敷レイヨン(現クラレ)に入社し、営繕部門に勤務。実業家大原総一郎の庇護の下に倉敷建築研究所(現浦辺設計の前身)を設立。後に独立し浦辺建築設計事務所……
繧繝彩色(うんげんさいしき)
同系統の色をぼかさずに段階的に表されたいろの濃淡。段ぼかしともいう。通常は青・赤・紫など二色以上の繧繝を組み合わせる。源流は西域にあり、唐で流行したものが伝来、奈良時代以降、繧繝彩色と称して仏画や仏寺……
江川三郎八(えがわさぶろうはち、1860~1939)
日本の建築技師。福島県会津若松生まれ。宮大工の修行の後、山口半六・妻木頼黄・久留正道に指導を受け建築技師となる。岡山県に転任し、数々の公共施設の設計監理を手掛ける。その擬洋風様式は「江川式建築」とも称……
エディキュ―ル(えでぃきゅーる)
aedikule。小祭壇のこと。古代の凱旋門や市門、教会堂などに見られるように、彫像を置いた「ニッチ(壁龕)」の周りを円柱と ペディメント によって神殿風に構成したもの。
エドモン・オーギュスト・バスティアン(えどもん・おーぎゅすと・ばすてぃあん Edmond Auguste Bastien 1839 ~1888)
仏国シェルブール生まれ。船工・製図職工。横須賀製鉄所に勤務。富岡製糸場(国宝)の開業当初の主要な建造物の設計を担当する。現存する中でバスティアンが確実に設計したものは、繰糸所・東置繭所・西置繭所・蒸気……
海老虹梁(えびこうりょう)
蝦束(えびづか)
エブラズマン(えぶらずまん)
ēbrasement。基本、壁構造であるロマネスク建築の窓の技法のことで、小さなスリット窓の内部に隅切りを施し、光を取り入れやすくしている。斜めにカットされた面が反射板の働きをし、室内の奥にまで拡散光……
エリザベス様式(えりざべすようしき)
Elizabethan style。英国エリザベス1世の地勢(1558~1603)に流行した建築様式。テューダー様式 と ジャコビアン様式 との間に挟まれた過渡的様式。
ゴシックの垂直構造を基本俊、……
エンタシス(えんたしす)
entasis。一種の胴張り。上方に向かって細くなっている円柱において、柱身に付けられる僅かな膨らみのこと。それに対して「和様」の「胴張り」は、柱の中程に最大の膨らみを持たせ、上下端に従ってその断面が……
エンタシス(えんたしす)
エンタブレチュア(えんたぶれちぇあ)
entablature。屋根を支える水平帯。古典建築では、コーニス・フリーズ‣アーキトレーブ よりなる。
円柱(えんちゅう)
断面が円形の柱。日本建築においても古来用いられてきており、中世に間仕切りに引戸が用いられるようになってから、角柱が専ら用いられるようになった。ギリシャ・ローマの古建築で盛んに用いられた円柱に縦溝(胡麻……
遠藤新(えんどうあらた、1889~1951)
福島県生まれ。東京帝国大学建築学科卒。卒業翌年、建築界の大御所であった 辰野金吾 設計の東京駅の批判を発表。F.L.ライトに師事し、その設計思想を受け継ぐ。建設費用の超過を理由に解雇されたライトの後を……
遠藤於菟(えんどうおと、1866~1943)
日本における鉄筋コンクリート技術の先駆者の一人で、「日本のペレ(オーギュスト・ペレ)」とも称される建築家。長野県木曽町の生まれ。東京帝国大学造家学科卒。作品には、旧横浜正金銀行本店(現神奈川県立歴史博……
オーダー(おーだー)
order。建築における「オーダー」は、古典主義建築の基本単位となる「礎盤(柱基)・柱身・柱頭」からなる柱と、水平梁である「エンタブレチャー」で構成され、それらの部材相互の秩序ある組合せのことをいう。……
笈形(おいがた)
「笈(おい)」とは、驢馬(ロバ)の背の左右に振り分けて荷を置くための道具のこと。その連想から付けられた名称であろう。「禅宗様」を象徴する要素の一である「大瓶束(たいへいづか)」の左右に取り付けられた、……
笈形付大瓶束(おいがたつきたいへいづか)
扇垂木(おうぎだるき)
「扇垂木」は、原始住宅にもすでに現われ、農家屋根の「垂木竹」や「四阿(あずまや)」にも見られる。また、宗教建築でも、最古の「隅扇垂木」の例が四天王寺に遺されている。
また、中国・韓国の場合は、みな「……
男梁(おうつばり、おばり)
大江新太郎(おおえしんたろう、1879~1935)
日光廟(東照宮)大修繕に携わって以来、生涯に渡って日本の伝統建築を追求した建築家。東京生まれ、京都育ち。東京帝国大学工科建築学科卒。子息が、建築家の 大江宏。作品には、明治神宮宝物館(重文)、高野山霊……
大江宏(おおえひろし、1913~1989)
モダニズムと日本の伝統的様式とを融合させるのではなく「混在併存」させた建築意匠を実践した建築家。また法政大学建築学科の礎を築いた教育者。秋田生まれ。(父は、建築家・大江新太郎)東京大学工学部建築学科卒……
大壁(おおかべ)
柱が表に現れない構造。和風木造建築の伝統的な工法は壁を柱と柱の間に納め、柱が外面に現れる真壁である。城郭建築や土蔵では、柱などにも藁を巻き付けて土を塗り、すべてを塗りこめる大壁である。
大熊喜邦(おおくまよしくに、1877~1952)
営繕官僚の建築家。公共建築の中心的人物で、中央諸官庁及び地方庁舎を数多く手掛ける。妻木頼黄・矢橋賢吉 の後を引き継ぎ、国会議事堂の建設を統括した。東京麹町生まれ。東京帝国大学工科大学建築学科卒。横河工……
大倉三郎(おおくらさぶろう、1900~1983)
京都を中心として活躍した建築家。京都市生まれ。京都帝国大学工学部建築学科卒。宗建築事務所・京都帝国大学営繕・台湾総督部技師営繕を経て、京都工芸繊維大学教授に就任。後に同大学の学長を務める。作品には、宗……
大棟(おおむね)
屋根の頂上において水平に走る主要な棟のこと。屋根の頂点は瓦が連続せず雨水が入り込みやすい。その部分に平瓦の半分のものを積み重ね、上に丸瓦を置いて雨水が入るのを防ぐ。これを棟という。厚板で鞍箱形に作った……
大谷石(おおやいし)
宇都宮市大谷辺りに産する、石英粗面岩質凝灰岩で、淡緑褐色で多孔質、決して良質とはいえないが、軟石で加工がしやすく安価である。また、外観に比して雨水に耐え耐火性に優れる。塀・石垣・内装材などに用いられる……
岡田信一郎(おかだしんいちろう、1883~1932)
大正・昭和初期に活躍した建築家。和洋を問わず歴史的な様式を鉄筋コンクリート造で建てることに定評があり「様式の天才」と呼ばれた。東京生まれ。東京帝国大学建築学科卒。東京芸大・早大で教壇に立ち、今和次郎・……
拝み(おがみ)
小川安一郎(おがわやすいちろう、1882~1946)
佐賀県生まれ。京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)図案科卒。住友営繕・内外木材工芸株式会社・大林組に在籍。作品には、株式会社清水猛商店、旧池長美術館(現神戸市文書館)、旧池長孟邸、旧藤井邸洋館(松風……
置塩章(おきしおあきら、1881~1968)
大正から昭和初期に関西で活躍した建築家。公共建築を多く手掛け、ネオゴシック様式 を好んだ。静岡県島田市生まれ。東京帝国大学造家学科卒。陸軍省・兵庫県庁に勤務の後独立。神戸高等工業学校(現神戸大学工学部……
オクルス(おくるす)
oculus。眼窓、円窓と訳す。ラテン語の「目」の意。ローマのパンテオンのドゥーモ頂部にある、円形の開口部もオクルスと呼ぶ。
また、16世紀以降、古典建築の特徴である円形窓は、仏語のoeil de ……
オジーアーチ(おじーあーち)
ogee arch。ゴシック後期及びイスラム建築において、凸状の曲線と凹状の曲線の組合せによる、玉葱形のアーチ
尾垂木(おだるき)
「二手先」「三手先」と組物を出すに従って、「丸桁(がんぎょう)」の支持が不安定となり、軒が下がる懸念が増すので「尾垂木」によって支えることが考案されたと見てもよいだろう。「尾垂木」は、柱芯を支点として……
落縁(おちえん)
鬼瓦(おにがわら)
大棟または降り棟の端に雨仕舞と装飾をかねて用いられる瓦の総称。板でできたものは鬼板という。奈良時代には蓮華文や獣面などがあり、室町時代には角の生えた鬼面へと変化し盛行したのでこの名がある。民家では鬼面……
鬼斗(おにと、いがと)
斗の一。上下で45°食い違った肘木をうける斗で、通り肘木などの交わる隅肘木・隅尾垂木の先端などに置かれる。正方形で方斗より大きい。特殊な繰型がつけられる場合もあり、その下面が菊花形であるものを菊斗とい……
折置組(おりおきぐみ)
小屋梁の端部の納め方の一。柱の頂部に直接小屋梁を架し、その上に軒桁をかけるもの。古代から用いられてきた。その逆で、柱の頂部にまず桁を渡し、その上に小屋梁をのせる納め方を京呂組という。
か〜こ
ガーゴイル(がーごいる)
gargoyle。雨水の排水口、怪鳥や獅子など
貝形(かいがた)
貝形柱(かいがたばしら)
蟇股(かえるまた)
「和様」の建物に見られる「蟇股」は、一般に「二本の水平材」の間にあって、上に「斗(ます)」をのせた、蛙(蟇)に似た曲線形の輪郭をもつ建築装飾部材のことである。時代によって、構造体と装飾機能を兼ねること……
鏡天井(かがみてんじょう)
天井形式の一。格縁・竿などがなく、板を鏡のように平行に並べて貼ったシンプルな天井。表面が1枚板あるいは、1枚でなくても矧ぎ目の明らかでないものを鏡板という。鎌倉時代以降禅宗様建築でよくみられる。ここに……
丸桁(がぎょう、がんぎょう、まるげた)
寺社建築において斗栱の一番先の手先の上にある横材で屋根周りを支える。垂木を受ける軒桁のこと。奈良時代のものは断面が円形であったのでこの称がある。断面が角形でもいう。その形で時代の新旧がわかることもある……
掛込み天井(かけこみてんじょう)
茶室に使われる天井形式の一。天井を張らず化粧垂木が見える化粧屋根裏と平天井で構成されている天井、あるいはその化粧屋根裏を掛込み天井という。平天井よりさらに低い天井を落ち天井という。
葛西萬司(かさいまんじ、1863~1942)
辰野金吾 と建築設計事務所を共同経営したことで知られる。盛岡市生まれ。南部藩士葛西家の養子となる。東京帝国大学造家学科卒。(同期に、横河民輔・宗兵蔵)辰野葛西設計事務所での作品には、旧盛岡銀行本店本館……
頭貫(かしらぬき、ずぬき)
柱頂部に渡してある「貫」の一種である横架材のこと。飛鳥・奈良時代では、建物にかかる横力をあまり考慮せず、柱だけで自立する構造であったので、一般的に横架材は細く、また仕口も単純なものであった。法隆寺では……
片岡安(かたおかやすし、1876~1946)
明治・大正・昭和初期に大阪で活躍した建築家。関西建築界の重鎮であり、日本都市計画研究の先駆者でもある。石川県金沢市生まれ。東京帝国大学工科大学造家学科卒。日本生命保険副社長・片岡直温の婿養子となる。辰……
片山東熊(かたやまとうくま、1853~1917)
明治時代の代表的宮廷建築家。米沢市生まれ。工部大学興造家学科第1回卒業性。代表作は、奈良国立博物館、京都国立博物館、東京国立博物館表慶館、旧東宮御所(赤阪離宮)など、典型的な明治様式建築がある。
葛野壮一郎(かどのそういちろう、1880~1944)
関西を中心に設計を手掛けた他、音楽・絵画にも造詣が深くまた女子教育にも関わるなど多方面で活躍した建築家。大阪府池田市生まれ。(先祖は、空海渡唐の際の遣唐大使である藤原葛野麻呂)東京帝国大学工科大学建築……
鴨居(かもい)
近畿地方の農家には、例外なく「差鴨居」が用いられるが、上座の座敷側だけを「長押巻(なげしまき)」とするのが普通である。要するに、座敷側の「差鴨居」を欠き込んで「釿名栗(ちょうななぐり)」を施し、左官で……
茅負(かやおい)
唐居敷(からいじき)
唐破風(からはふう)
唐様(からよう)
河合浩蔵(かわいこうぞう、1856~1934)
明治・大正期に活躍した建築家。建築学会の前身造家学会創立発起人の一人。江戸本所生まれ、工部大学校造家学科卒。コンドル門下生。工部省・司法省を経て河合建築事務所開設。関西建築界の長老的な存在。作品には、……
雁木棚(がんぎだな)
看板建築(かんばんけんちく)
大正12年(1923)の関東大震災後、焼け野原にはバラック(兵舎・仮設小屋の意)が建てられ、徐々に「バラック商店街」の様相を呈するようになる。なかには建築家(遠藤新・吉田五十八・レイモンド社・前田健二……
キーストーン(きーすとーん)
keystone。要石(かんめいし)、楔石(くさびいし)。アーチの頂部に入る楔形の 迫石。アーチを造る場合に最後に挿入され、この位置で他の迫石を固める役割を果たす。
装飾を施したり下方に長く延長し、……
木負(きおい)
「二軒」の軒裏の構成は、軒桁から「地垂木」を差し出し、その鼻先を少し控えて「木負」を通し、それに溝を彫って「飛檐垂木」を落し込み挺出(ていしゅつ)する。さらに「飛檐垂木」の鼻先を少し控えて「茅負(かや……
木子七郎(きごしちろう、1884~1955)
大阪を拠点に公共建築の設計を手掛ける。京都市生まれ。東京帝国大学建築学科卒。妻カツの父の新田長次郎(新田帯革製作所創始者)関係の作品が多い。作品には、旧木子七郎邸、旧新田長次郎琴乃浦別邸(温山荘)、旧……
岸田日出刀(きしだひでと、1899~1966)
建築学者・建築家。戦前・戦後にかけて、建築分野の造形意匠設計の権威。福岡県生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒。母校に入職、岸田研究室には、丹下健三・前川國男・立原道造・浜口隆一らが在籍している。作品……
木鼻(きばな)
「木鼻」の「鼻」は「端(はな)」の意である・肘木・頭貫・虹梁などの水平材が、柱などを越えて突出したところ、或いは突出したように見せたところ(「掛鼻」という)の装飾を施した彫刻のこと。同類には、握り拳の……
客殿(きゃくでん)
キャノピー(きゃのぴー)
canopy。天蓋形の庇。屋根状の張り出しテント。商店の店先やホテルの出入り口などに日除けや雨除けの目的で差し掛けられた庇。
キャピタル(きゃぴたる)
capital。柱頭。視覚的には上からの力とそれを支える力との接点となるため、古代以来しばしば彫刻的に装飾された。
その形にはエジプトの「パピルス柱」や「ロータス柱」「パルメット柱」などのように植物……
ギャラリー(ぎゃらりー)
gallery。使用範囲が広い語。側面が部分的または全体に開かれ、柱で支持された屋根を持つ歩行用の空間のこと。細長くて狭い廊下や室を指すこともある。また、劇場の2階以上の客席や、体育館などの内壁から突……
経ノ巻(きょうのまき)
擬洋風建築(ぎようふうけんちく)
幕末から明治時代初期の我が国において、主として近世以来の技術を身に付けた大工棟梁によって「見よう見まね」で設計施工された建築を指す。従来の和様をベースとした建築に、西洋建築の特徴的意匠や、時には中華風……
魚尾形懸魚(ぎょびがたげぎょ)
切懸魚(きりげぎょ)
切目縁(きりめえん)
大徳寺山門の上層の「勾欄」下の「縁」は、「縁框」(「掾」の鼻先の材)のみを厚みのある材を用い、そこに縦の「底目地」を切り込んで「切目縁風」に見せかける細工を施している。いわば「なんちゃって切目縁」であ……
切目長押(きりめなげし)
宮殿(くうでん)
櫛型ペディメント(くしがたぺでぃめんと)
segmental pediment。円弧形の ペディメント のこと。
國枝博(くにえだひろし、1879~1943)
大阪を拠点に活躍した建築家。岐阜県生まれ。東京帝国大学建築学科卒。朝鮮総督府に在任中、朝鮮総督府庁舎の設計に携わる。1919年大阪に國枝公務所を解説。作品には、旧大阪府農工銀行外装改修、旧八木通商本社……
久野節(くのみさお、1882~1962)
堺市生まれ。東京帝国大学建築学科卒。鉄道省初代建築課長などを経て久野設計事務所を設立。後年、戸田建設の相談役に就任。作品には、千葉県立佐倉高等学校旧本館、南海ビルディング(現高島屋大阪店)、旧参宮急行……
組勾欄(くみこうらん)
雲斗・雲肘木(くもと・くもひじき)
現存する最古の組物は、いうまでもなく法隆寺の「雲斗・雲肘木」(雲斗栱)である。組物は、通常、水平に挺出(ていしゅつ)した「肘木(ひじき)」と、その上に乗って次の「肘木」や「丸桁(がんぎょう)」を受ける……
雲斗栱(くもときょう)
蔵田周忠(くらたちかただ、1895~1966)
分離派建築会 の 堀口捨己 らと知り合い同会に参加。表現主義 からモダニズムまで幅広い様式の建築を手掛けた。山口県萩市生まれ。(元は、浜岡周忠)工手学校(工学院大学の前身)卒。曽禰中條建築事務所などを……
クリアストーリー(くりあすとーりー)
clerestorey window。高窓。明層。元は、教会堂において、「身廊」の壁の最上部に設けられる窓の列のことを指すが、一般建築においても同様の方式による採光窓の部分もそのように呼ぶ。機能的には……
刳抜蟇股(くりぬきかえるまた)
榑縁・榑板(くれえん・くれいた)
ゲオルグ・デ・ラランデ(げおるぐ・で・ららんで Georg de Lalande 1872~1914)
独国出身の建築家。日本で設計事務所を開設。日本にユーゲント・シュティール(アール・ヌーヴォー)様式をもたらしたとされる。現存する作品は、トーマス邸(重文/風見鶏の館)、旧ロシア領事館(函館市景観形成指……
外陣(げじん)
間斗・間斗束(けんと・けんとづか)
「和様」の建物において、両斗栱間(柱間)の「中備(なかぞなえ)」にあって、上部に「間斗(けんと)」という「斗」が付いた「束」のことを合わせて「間斗束(けんとづか)」と呼ぶ。
「間斗」とは、「両斗栱の……
劍巴紋(けんともえもん)
間面記法(けんめんきほう)
コーナーストーン(こーなーすとーん)
cornerstone。クォイン(仏語の隅の意であるコアンから出た語)とも呼ばれる。隅石。煉瓦積 みや比較的小さな石を積んだ壁体において、出隅部分に隅部の補強のためにやや大きめの石を、表面が大小交互に……
コーニス(こーにす)
cornice。エンタブレチュア の最上部の軒・壁面より突出した装飾水平帯のこと。一般には壁体の上部に限らず、各層を区切る部分に取り付けられる装飾的な水平帯もすべてコーニスと呼ぶ。「蛇腹」と訳し「軒蛇……
ゴールデン・ラティオ(ごーるでん・らてぃお)
golden ratio。黄金比。1:1.618033。線分ABを点Cで内分し、AC:BC=AB:ACとなるようにしたとき、ACとBCの比を黄金比という。
最も簡単な作図方法は次の通りである。①正方……
槓杆(こうかん)
格狭間(こうざま)
構成主義(こうせいしゅぎ)
constructivism。第一次世界大戦後、ソヴィエトで興った革新的な芸術運動。C.マレーヴィチによって始められた「シュプレマティスム」を基盤としながら、更に技術時代の諸条件に適合する美術文化を展……
向拝(こうはい、ごはい)
日本の社寺建築は、古くはその平面が簡単なものであり、立面の正面・背面も同じような姿であった。ところが平安時代前期ころから、おそらく住宅系の住要求からか、神社建築の祭祀上の都合が影響したのか、神社本殿前……
勾欄(こうらん)
「山門」の上層の縁周りに設けられる「勾欄」のように、実用に供する高さのものもあるが、実用を離れて、意匠上から「勾欄」を設けて、建築をうまくまとめることが古くから行われた。(山口の「瑠璃光寺五重塔」のよ……
虹梁(こうりょう)
「二重虹梁式架構」の場合、下の大きい方を「大虹梁」、上の小さい方を「二重虹梁」と呼ぶ。また、寺院建築の「外陣」の「柱」を省いたところに用いる梁も「大虹梁」といわれる。
「繋虹梁(つなぎこうりょう)」……
虹梁蟇股(こうりょうかえるまた)
虹梁大瓶束(こうりょうたいへいづか)
小壁(こかべ)
国際様式(こくさいようしき)
International style。インターナショナル様式。近代建築の多様な動向のうちで、個人や地域の特殊性を越えて、世界的に共通な様式へと向かっているもの。個々の建築家により、その主張や作風に幾……
腰高明障子(こしだかあかいしょうじ)
ゴシック様式(ごしっくようしき)
Gothic style。ロマネスクとルネサンスの中間時期の建築様式。その構成要素は、「尖頭形アーチ・リブ ヴォールト・フライイングバットレス」であるが、これらの要素自体はゴシックの発明ではない。ゴシ……
腰長押(こしなげし)
御所棟鬼板(ごしょむねおにいた)
小天井(こてんじょう)
余談である。「小天井」の呼び方に似たものとして「小壁(こかべ)」という言い方がある。その他、建物に関して「小(こ)」を接頭語に冠する言葉はたくさんあるので列記しておく。
「小穴(こあな)」、「小板(……
小林正紹(こばやしまさつぐ、1890~1980)
明治末期から昭和初期にかけて、官庁営繕で活躍した建築家。東京都生まれ。工手学校(現工学院大学)卒。聖徳記念絵画館(コンペ一等案)設計者として知られる。円地文子邸、若槻礼次郎邸などの住宅作品もある。
小間返し(こまがえし)
コラム(こらむ)
column。円柱。円形断面の柱。古建築においては、ベース・柱身・柱頭よりなり、しばしば柱身に膨らみを持つ。
コリント式オーダー(こりんとしきおーだー)
Corinthian order。 鐘状の柱頭を有し、そこから8つの「アカンサス」の茎が質素な渦巻装飾を支えるために突き出している。柱身は一般的に フルーティング(溝彫り)が施される。
コロニアル様式(ころにあるようしき)
Colonial style。植民地様式。17~18世紀に、イギリス・スペイン・オランダなどの植民地で行われた建築や工芸の様式。特に、米国の植民地時代の建築について言われるもので、英国の古典主義様式を……
金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)
権殿(ごんでん)
金堂(こんどう)
日本最古の「金堂」は、聖徳宗・総本山「法隆寺」のそれで、日本最大は、華厳宗・大本山「東大寺」の「大仏殿」(正式には「金堂」と称する)である。
法相宗・大本山「興福寺」には、この度「中金堂」と「東金堂……
コンポジット式オーダー(こんぽじっとしきおーだー)
Composite order。「混在式」を意味し、「ローマ式オーダー」ともいう。柱頭におけるイオニア式の顕著な渦巻装飾とコリント式のアカンサスとを組み合わせた、最も装飾的なものである。柱身は フルー……
さ〜そ
坂倉準三(さかくらじゅんぞう、1901~1969)
ル・コルビュジェ に師事し、モダニズム建築を実践。都市のターミナル開発から家具デザインに至るまで幅広く活躍した建築家。岐阜県羽島市生まれ。東京帝国大学文学部美学美術史学科卒。渡仏しパリ工業大学で就学す……
桜井小太郎(さくらいこたろう、1870~1953)
日本初の英国王立建築家協会建築士。東京都生まれ。ロンドン大学建築家卒。海軍技師を経て三菱地所に入社、丸の内ビジネス街建設に携わり、後に独立。作品には、旧呉鎮守府司令長官官舎(入船山記念館)、東洋文庫、……
笹川慎一(ささがわしんいち、1889~1937)
早稲田大学理工学部建築学科卒。建築部技師として、阪神間に特色のある住宅作品を残す。また、小出楢重や富本健吉ら美術家とも交流があり、古美術蒐集家としても高名であった。作品には、岸本瓦町邸が現存する。
笹繰(ささぐり)
飛鳥・奈良時代の「和様」や「禅宗様」に見られる細部意匠である。「肘木」の上に乗る、手前と手先の「斗」の間の、その上端を、見附が「笹の葉」のような形に、斜めに抉って見せる、繊細な細工のこと。肘を張って持……
指鴨居(さしがもい)
指敷居(さしじきい)
挿肘木(さしひじき)
東大寺南大門の断面図をよく見ると、「柱」に孔を穿(うが)ち挿し込まれた「挿肘木」の上に「斗」を据え、その上に「柱」を貫通して伸びてくる「肘木」の機能を兼ねた「通貫(とおしぬき)」を乗せ、徐々に「斗」の……
扠首(さす)
屋根を構成する小屋組の一で、「敷桁(虹梁)」と登梁である二本の「合掌(扠首竿)」とで構成される二等辺三角形の単純なトラス形式のことをいう。「敷桁」に「扠首竿」の先端を、文字通り「扠す(挿す)」ようにし……
扠首竿・扠首束(さすざお・さすづか)
佐立七次郎(さたちしちじろう、1856~1922)
高松市生まれ。工部大学造家学科第1期卒。工部省・海軍省・藤田組・逓信省・日本郵船に所属。工手学校(現工学院大学)造家学科教員を務める。現存する作品は少ないが、日本水準原点標庫(重文、現在も公的建造物と……
佐藤功一(さとうこういち、1878~1941)
早稲田大学建築学科の創始者。栃木県生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒。我が国の建築学会の重鎮として活躍、数多くの作品を残す。作品には、宮城県庁舎、栃木県庁舎、滋賀県庁舎、日比谷公会堂、早稲田大学大隈……
佐藤武夫(さとうたけお、1899~1972)
建築音響学の先駆者で、オーディトリアム設計の第一人者。名古屋市生まれ。早稲田大学建築学科卒。佐藤功一に師事。日光東照宮の本地堂で起こる「鳴龍」の現象を科学的に解明する。作品には、早稲田大学大隈記念講堂……
佐野利器(さのとしかた、1880~1956)
日本の構造学の発展に多大な貢献を果たす。山形県出身。東京帝国大学建築学科卒。関東大震災後の都市復興、都市計画に従事。国技館、東京駅、復興小学校建築多数、神奈川県庁舎、学士会館などの構造設計を担当。
鯖尻(さばじり)
皿斗(さらと)
桟唐戸(さんからど)
「棧唐戸」が渡来する随分と以前、すでに奈良時代から、幅の狭い竪羽目張りを裏の棧で止める、片面張りの「板棧戸(いたさんと)」が多く使用されていた。平安時代後期の平等院鳳凰堂のものは両面張りの立派なもので……
三十番神堂(さんじゅうばんしんどう)
ジェームス・ガーディナー(じぇーむす・がーでぃなー James McDonald Gardiner 1857~1925)
米国人建築家・教育家。米国セントルイス生まれ。ハーバード大学中退。(本格的な建築教育は受けていないと言われる)米国聖公会伝道局から築地の立教学校への派遣が決定し、立教学校初代校長となる。校長退任後、本……
地円飛角(じえんひかく)
平安時代以降の「和様」の基本は、両方とも角材を用い、「地角飛角」と変化する。只、古代の形式を採用することもあり、室町時代にもその違例はある。「地円飛角」が用いられているのは、奈良時代のものとしては、薬……
敷居(しきい)
茂庄五郎(しげしょうごろう、1863~1913)
明治時代に関西で活躍した建築家で、関西の建築設計事務所の草分け的な存在。長崎県生まれ。東京帝国大学造家学科専科卒の後、尼崎紡績技師として工場現場を多く手掛ける。大阪に茂建築事務所を開設。作品には、尼崎……
繁垂木(しげだるき)
「繁垂木」は、ある程度格式をもった建物に用いられるのに対し、格式を下げる場合、或いは住宅系の場合は、垂木のピッチを広げる傾向にあり、明きの大きいものを「疎垂木(まばらだるき)」といい、さらに明きを広げ……
錣葺(しころぶき)
獅子口(ししぐち)
儀式に使われる「鬼面」や「鬼板・鬼瓦」が抽象化されたものであろうが、「獅子口」の名称の由来は不明とされている。江戸時代に「獅子口」を使った棟を「御所棟」と呼んだらしく、「獅子口」そのものを「御所棟鬼板……
獅子鼻(ししばな)
下地窓(したじまど)
地垂木(じだるき)
七宝池(しっぽういけ)
鎬(しのぎ)
四半敷(しはんじき)
「四半敷」のように四十五度に振らず、建物と平行に碁盤の目のように敷く場合は「碁盤敷(ごばんじき)」という。
方形または矩形の切石や敷瓦を使い、一方向は目地を通し、これと矩手方向の目地は交互に通したも……
地覆長押(じふくなげし)
清水英二(しみずえいじ、1895~1964)
神戸市内に多くの作品を残した建築家。兵庫県生まれ、東京帝国大学工学部建築学科卒。ドイツ 表現主義 を始め、アールデコ・国際主義:ロシア 構成主義 など多彩な様式を折衷し、阪神間のモダニズムに彩を添えた……
錫杖彫(しゃくじょうぼり)
ジャコビアン様式(じゃこびあんようしき)
Jacobean style。英国ジェームス1世の治世(1603~1625)に行われた建築・工芸の様式。垂直式ゴシックのモティーフと、いささか濫用ぎみの古典的装飾の混在に特徴がある。
先行する エリ……
シャフト(しゃふと)
shaft。柱身
主殿造(しゅでんづくり)
平安時代の「寝殿造」では、「寝殿」の他「対の屋」「釣殿」など、室の構成は「母屋・庇」を基本とする単純な建物を、広大な敷地に配置して、それらを「渡廊」でつなぐ形式をとった。一方、鎌倉時代に入り登場する「……
シュプレマティスム(しゅぷれまてぃすむ)
suprēmatisme。絶対主義。1913年、ロシアのC.マレーヴィチによって唱えられた主義。絵画から文学的・記述的要素を排除して、純粋で絶対的な感情を表現しようとするもの。この抽象美術への動向は、……
須弥壇(しゅみだん)
上代の「須弥壇」としては、「薬師寺金堂」内の白大理石のものや、「唐招提寺金堂」内の花崗岩壇上積格狭間(こうざま)入りのもの、そして木造では「東大寺法華堂」内の八角二重のものがよく知られている。
平安……
ジョージアン様式(じょーじあんようしき)
Georgian style。英国で、18世紀から19世紀中頃に即位した、ジョージ1世から4世までの時代に流行した建築と家具のデザイン様式。その特徴は、バロック様式 や ロココ様式 に近しく、洗練され……
書院造(しょいんづくり)
「寝殿造」から「書院造」への移行には、長い時間の経過を要し、さまざまな形式上の模索があり、互いに影響し合いながら、「床同時並行的に進行していったものと思われる。以前は、「武家造」や「主殿造」と称される……
書院窓(しょいんまど)
定規筋(じょうぎすじ)
上段の間(じょうだんのま)
正堂(しょうどう)
浄土庭園(じょうどていえん)
平安時代の中葉に「浄土(式)庭園」が発生する。その後、鎌倉時代の中葉の禅宗系の庭園が造られ始めるまでの間、この地泉形式が継続する。
「末法思想」について若干述べておく。伝教大師最澄は「末法燈明記」に……
菖蒲桁(しょうぶげた)
ジョサイア・コンドル(じょさいあ・こんどる Josiah Conder 1852~1920)
近代化に向け、明治政府が迎えたお雇い外国人。工部省工作局技術官。
日本人建築化の育成に努めた。作品には、上野博物館、鹿鳴館、ニコライ聖堂、三菱一号館、湯島岩崎邸、三井倶楽部などがある。
ジョン・バン・ウィ・バーガミ二―(じょん・ばん・うぃ・ばーがみにー John van Wie Bergamini 1888~1975)
米国人ミッション系の建築家。関東大震災後、米国聖公会から聖路加国際病院顧問技師として派遣され来日。その系列の数々の施設設計を手掛ける。子息は「天皇の陰謀」「数の世界」「宇宙」の著書で知られる数学者・物……
白井晟一(しらいせいいち、1905~1983)
モダニズム建築が主流の風潮に相反し、哲学的と称される精神性の高い重厚な建築をのこした。京都市生まれ。京都高等工芸学校図案科(現京都工芸繊維大学造形科学科)卒。担当教授は 本野精吾。建築の特徴は、象徴的……
神宮寺(じんぐうじ)
明治維新の神仏分離以前、日本の宗教観は神仏混淆の状態にあった。同一境内に、お寺では「鎮守社」を、神社では「神宮寺」が祀られていることが常態であった。渡来する宗教を、多くの人々は取捨選択することなく受け……
シングル様式(しんぐるようしき)
shingle style。米国の東部において、南北戦争後の19世紀後
半、アカデミズム建築に対抗して、中規模住宅に独自の新機軸が打ち
出される。壁から屋根まで、すべて杉材のシングル(木製タイル・……
身舎(しんしゃ)
真反り(しんぞり)
寝殿造(しんでんづくり)
平安時代の寺社の「和様化」が進む中、皇族など上流の住宅形式として生まれたものである。地位により規模・形式は異なるが、三位以上の敷地は、一町(121m×121m、4430坪)で、周囲に「築地塀」をめぐら……
心柱(しんばしら)
縋破風(すがるはふう)
数寄屋造(すきやづくり)
室町時代後期から安土桃山時代は、戦国時代とも呼ばれ大名が群雄割拠し、その戦乱に伴う社寺の破壊と復興再建、さらには新規の城郭や城下町の建設などにより、全国的に空前の建築ブームが起きた。その需要に応える工……
スクラッチタイル(すくらっちたいる)
scratch tile。タイルの表面を櫛引のし、平行の溝をつくり、それを焼成した粘土タイルのこと。F.L.ライトが、帝国ホテル(1890)に用いたことが良く知られている。
苆壁(すさかべ)
鈴木禎次(すずきていじ、1870~1941)
明治・大正・昭和初期の建築家。静岡市生まれ。東京帝国大学造家学科卒。名古屋高等工業学校(現名工大)教授を経て独立。作品の過半が名古屋に集中し「名古屋をつくった建築家」と呼ばれる。夏目漱石の義弟である。……
砂摺り天井(すなずりてんじょう)
簀子縁(すのこえん)
須柱(すばしら)
スパニッシュ瓦(すぱにっしゅかわら)
spanish roof tile。S字形状の断面を持つ洋瓦の一種で、粘土の生地そのままを焼成した色であるため、一つとして同じ色がないのが特徴であり、また魅力である。
隅扇垂木(すみおおぎだるき)
隅延び(すみのび)
近世の軒は、正しく「隅延び」が行われず、両端だけを反り上げ、中程は直線としたものが多いが、そうすると中央が錯覚のため盛り上がって見える。鎌倉時代の「禅宗様」では、軒隅の反り上りは甚だしく、急に鋭く尖っ……
隅蓋瓦(すみぶたがわら)
役物瓦のひとつで、切妻屋根や縋破風(すがるはふ)に掛瓦を使用した場合、軒巴瓦・隅巴瓦・掛巴瓦の尻部分の接合点を覆う瓦である。お椀または鉄兜といわれる装飾のない実用本位の瓦を基本として、その上に種々の形……
住吉造(すみよしづくり)
神社の本殿形式のひとつで、切妻造で棟に2本の置千木(おきちぎ)と3本の堅魚木(かつおぎ)を置く。妻入りで、正面2間分を1間、背面2間、側面4間の規模で、内部は前後に外陣と内陣に分かれる。丹塗で回り縁は……
スワンネックペディメント(すわんねっくぺでぃめんと)
swan-neck pediment。二つの向かい合う平らなS字形の曲線で構成された ペディメント のこと。
整形四間取(せいけいよまどり)
民家の平面形式の分類のひとつで、土間を除いた居室部の部屋が田の字形に4室並ぶもの。間仕切りが縦横十字にとおるものを「整形四間取」、間仕切り線が通らず食い違うものは「食違い四間取」という。大阪近郊では4……
清楼棚(せいろうだな)
背返し(せがえし)
ゼツェッシオン(ぜつぇっしおん)
Sezession。分離派。英語系では「セセッション」と呼ぶ。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ドイツ・オーストリアに興った芸術の革新運動で、その主な活動領域は建築と工芸。
その重要な中心地は、ミ……
摂社(せっしゃ)
神社本社と由緒の深い祭神が祀られるなど、本社とは別に祀られている神社のこと。本社の管理を受ける。 同じ境内地にあることが多いが(境内社)、境内地外にある場合もある(境外社)。
折衷様(せっちゅうよう)
鎌倉時代に入ると、従来の「和様」に新来の「大仏様」「禅宗様」が加わり、三様式が並立する形となる。その流れにあって、意識的に三様式を混在させる「折衷様」の手法化が定まるまでには、相当な時間がかかる訳で、……
迫石(せりいし)
voussoir(仏、ブーソアール)アーチを構成する楔形の石のことを指す。
禅宗様(ぜんしゅうよう)
鎌倉時代初めに「大仏様」が伝来して間もなく、禅宗が栄西(一般には「えいさい」、建仁寺では「ようさい」と読む)禅師らによって、南宋から伝えられたのと一緒に、まったく新しい建築様式が輸入された。これまでの……
尖頭アーチ(せんとうあーち)
pointed arch。「尖りアーチ」ともいう。ゴシック建築の特徴の一つ。スパンの長さに等しい半径を持つ二つの円弧を組み合わせて尖頭形にしたアーチのこと。これも、柱の間隔が異なると、アーチの頂部の高……
草庵(そうあんふうちゃしつ)
「茶」は、奈良時代後期ごろ、「磚茶(せんちゃ)」(磚とは瓦のこと)と称して、茶葉を固めたものを削って喫していた。後世、鎌倉時代に栄西禅師が、南宋から茶の種を持ち帰り、高山寺の明恵上人が茶畑を作ったのが……
総向拝(そうこうはい)
宗兵蔵(そうひょうぞう、1864~1944)
明治・大正期、関西の建築界の重鎮として活躍した建築家。プロポーションや細部意匠の取り扱いにすぐれ、折衷主義建築を得意とした。江戸生まれ。東京帝国大学造家学科卒。宮内省・海軍省・藤田組を経て、大阪に宗建……
相輪(そうりん)
三重塔、五重塔などの仏塔の最上層屋根の頂部に立つもので、下から露盤・伏鉢(覆鉢)・請花・九輪・水煙・竜車(竜舎)・宝珠から成る。心柱の上に鉛筆のキャップのようにかぶさっており、青銅または鉄で作られる。……
礎石(そせき)
建物の柱の下に据える石。柱の根元が腐るのを防ぎ、上の荷重によって柱が地面の中に沈下することを止める。また、柱にかかる力を地面に伝える役目をもつ。
袖切(そできり)
厚みを持った「虹梁」を、「柱」に取り付く付近を斜めに切り取って納めるが、その部分のことを「袖切」と呼ぶ。そして、「柱」に取り付く付近の上方の孤形をなす出張った部分のことを「鯖尻(さばじり)」、下端に刳……
曽禰達蔵(そねたつぞう、1853~1937)
江戸生まれ。コンドル門下一期生。後に、中條精一郎(1868~1936)と共に、曽禰中條建築事務所を開設。作品には、丸の内の三菱3、4、6、7号館、慶應義塾大学図書館、旧日本郵便神戸支店ビル、明治屋ビル……
た〜と
大黒柱(だいこくばしら)
民家の平面の中央付近、特に土間と座敷境、土間の表側と裏手の境目にある太い柱。
大社造(たいしゃづくり、おおやしろづくり)
神社の本殿形式のひとつで、切妻造で棟に2本の置千木(おきちぎ)と3本の堅魚木(かつおぎ)を置く。妻入りで、正面2間、側面2間の規模で、内部は一間分のみ壁で区切られ、神座は西を向く。素木造りで四周に高欄……
胎蔵生曼荼羅(たいぞうしょうまんだら)
大斗(だいと)
斗組(ますぐみ)のなかで、最下にあって「斗栱」全体を受ける最大の「斗」のこと。一般には、柱頂部または「台輪」や「皿斗(さらと)」を隔てて据えられる。「斗」の上方の「肘木」を含む部分またはその深さを「含……
大塔(だいとう)
大斗肘木(だいとひじき)
台盤所(だいはんどころ)
台盤という食器類を載せる脚付きの台が置かれて食事の用意をする室で、今日の台所の起源となる。台盤は平安貴族の調度品であったが、神社の祭具として現在も用いている場合がある。
大仏様(だいぶつよう)
鎌倉時代の初め、東大寺復興に際し、僧重源と宋人陳和卿が、中国福建省の建築様式と伝統的な「和様」をもとに考案した新しい建築様式である。
平安時代の末に、平重衡(清盛の末子)による南都焼き討ちがあり、興……
大瓶束(たいへいづか)
鎌倉時代に、宋から伝わった「禅宗様」を象徴する装飾部材の一つで、上部に「斗」をのせ、「妻飾」
や内部の「虹梁」などの部位に用いられる、瓶子(へいし)のような形状の「束」のこと。
この「束」の特色は……
大瓶鰭(たいへいびれ)
台目畳(だいめだたみ)
「丸目(まるめ)」とは、茶の湯で使われる用語で、畳縁に接する畳表の「目の数」が一畳分すべて揃って見えることを意味する。
「台子(だいす)」とは、「書院・広間」での正式な茶の湯に用いられる「棚物」の一……
台輪(だいわ)
柱頂部と「大斗」の間に入る横架材で、「頭貫」と合わせて構造的役割を担う幅広の厚板の部材のこと。
「和様」の「多重塔」に、古くからその使用が認められることは、あまり知られていないかもしれない。最古の法……
高橋貞太郎(たかはしていたろう、1892~1990)
豪奢な邸宅やホテルの設計が多い。彦根市生まれ。東京帝国大学工科大学建築学科卒。佐野利器 に師事。聖徳記念絵画館(原案/小林正紹)実施設計に携わる。作品には、学士会館、前田侯爵邸洋館、旧日本生命館(現高……
高塀造(たかへづくり)
抱控え(だきびかえ)
竹腰建造(たけこしけんぞう、1888~1981)
住友総本店出身で、日建設計の母体の長谷部竹腰建築事務所の創立者の一人。石川県金沢市生まれ。父は、岩本高俊男爵(石川県知事)で、幼時に旧小倉藩の竹腰家の養子となる。東京帝国大学工科大学及び英国AAスクー……
武田五一(たけだごいち、1872~1938)
大正・昭和初期に活躍した建築家で「関西建築界の父」といわれる。福山市生まれ。東京帝国大学建築学科卒。欧州留学で影響を受けたアール・ヌーヴォーやゼツェションなど新しいデザインを日本に紹介。京都高等工芸学……
多重塔(たじゅうとう)
「多重塔」は、「三重塔」や「五重塔」に代表される。基本、平面は四角形(多角形もある)の空間を奇数数に重ねたものであり、その源流は中国の「楼閣」と考えられている。
「塔」の中心に「心柱」を据え、「四天……
多層塔(たそうとう)
塔頭(たっちゅう)
大寺院の敷地内にある小寺院や別坊のことで、脇寺 (わきでら)ともいう 。禅宗寺院の独特な形態である。
辰野金吾(たつのきんご、1854~1919)
明治時代の代表的建築家。工学寮造家学科第一回卒。コンドル門下生。東京駅に代表される、赤レンガに白い御影石の帯のパターンは「辰野式建築」と呼ばれた。東京帝大工科大学長退官後、1905年に 片岡安 と共に……
竜山石(たつやまいし)
兵庫県高砂市辺りに産する、流紋岩質溶結凝灰岩で、加工に適した強度と粘りを有し、耐火性にも優れている。その色合いから、青竜石、黄竜石及び赤竜石(稀少)がある。古くは、仁徳天皇陵の石棺や平城宮の礎石、近現……
立石清重(たていしせいじゅう、1829~1894)
幕末から明治時代前期においての日本の大工棟梁・建築家。松本城下生まれ。擬洋風建築 の典型といわれる開智学校校舎(国宝)が代表作である。
田辺淳吉(たなべじゅんいち、1879~1926)
おもに大正期に活躍した建築家。東京生まれ。東京帝国大学建築科卒。辰野金吾 に師事。清水組(現清水建設)の技師として、銀行・学校・邸宅などを設計し、後に独立。建築と工芸の提携、田園趣味などアーツ・アンド……
ダニエル・クロスビー・グリーン(だにえる・くろすびー・ぐりーん Daniel Crosby Greene 1843~1913)
米国人の宣教師・牧師・建築家。米国マサチューセッツ州生まれ。ヘボン・フルベッキとともに新薬聖書翻訳に取り組む。後に同志社英学校(現同志社大学)で教師を務める。作品には、摂津第一公堂(現日本基督教団神戸……
谷口吉郎(たにぐちよしろう、1904~1979)
日本の伝統文化の継承を踏まえ、正統的なモダニズム建築にそれを活かした、端正な作風で知られる建築家。金沢市、九谷焼窯元の家に生まれる。東京帝国大学建築学科卒。東京工業大学で長く教鞭をとる。「博物館明治村……
手挟(たばさみ)
神社建築など、主に向拝柱の内側に、屋根の垂木勾配に沿って入れられた、ほぼ三角形の化粧板のことで、彫刻物であることが多い。これによって向拝柱上の組物と垂木の隙間がなくなり、納まりが良くなる。
多宝塔(たほうとう)
「多宝塔」は、平安時代の密教系寺院において、「多宝如来(過去七仏の一。宝生如来とも)」と「釈迦如来(不空成就如来とも)」の二つの仏像を並べて安置した「塔」のことである。「真言密教(東密)」では、一層目……
ダルムシュタット・ゼツェッシオン(だるむしゅたっと・ぜつぇっしおん)
Darmstadter Sezession。「ウィーン・ゼツェッシオン」に次いで独国のダルムシュタットに興された芸術革新運動。ヘッセン大公E.ルートヴィヒが、英国の近代運動に刺激されて、ダルムシュタッ……
丹下健三(たんげけんぞう、1913~2005)
日本では「世界のタンゲ」と言われたように、日本人建築家として最も早く国外でも活躍し、認知された一人。第二次世界大戦復興後から高度成長期にかけて、多くの国家的プロジェクトを手掛けた建築界のトップリーダー……
単層(たんそう)
歴史的建造物において、屋根の重なりがひとつであること。階数とは別で、建物が2階またはそれ以上の階数の場合もある。
違棚(ちがいだな)
「違棚」の発生は、室町時代の中葉で、現存する最古のものは「東山殿(慈照寺)東求堂・同仁斎」の「付書院」に隣り合わせにつくられた「棚」である。江戸時代初期までのものは「地袋」を欠き「地板」を「押板」形式……
千鳥破風(ちどりはふ)
中條精一郎(ちゅうじょうせいいちろう、1868~1936)
曽禰達蔵 と共に曽禰中條建築事務所を主宰する。山形県米沢市生まれ。東京帝国大学建築学科及びケンブリッジ大学卒。文部省辞職後、曽禰と東京丸の内に建築事務所を開設。昨比委には、札幌農学校(現北海道大学)昆……
中門廊(ちゅうもんろう)
帳台構(ちょうだいがまえ)
手斧(ちょうな)
釿目削り(ちょうなめけずり)
鎮守社(ちんじゅしゃ)
築地塀(ついじべい)
「築地塀」と「練塀」は、前者が「土」による「一体造」なのに対し、後者は「瓦」を「土」で積み上げる、いわば「組積造」であり、構造が異なる。両方とも、表面に漆喰を塗り仕上げるので、見た目は変わらない。漆喰……
ツイストコラム(ついすとこらむ)
twist column。捩れ柱。円柱において、柱身の部分が縄を撚り合わせたように形作られているもの。
蹲踞(つくばい)
付書院(つけじょいん)
付樋端(つけひばた)
敷居、鴨居などの溝の凸部分を樋端(ひばた)といい、敷居や鴨居、竪枠などに溝をつくって引き戸、あるいは上げ下げ戸などを建て込む際、溝を彫るのではなく、雇い木をつけることによって溝を作る場合、その雇い木を……
厨子二階(つしにかい)
街路側の平入屋根の軒高を低く抑えた民家の、屋根裏部屋のことを「厨子二階」と称する。「中二階」と表記される場合もあるが、単に「つし」或いは「ずし」とも呼ばれたりもする。「厨子」以外に「図子」「辻」の漢字……
土浦亀城(つちうらかめき、1897~1996)
茨城県水戸市生まれ。(横山大観は叔父にあたる)東京帝国大学工学部建築学科卒。F.L.ライトに師事。渡米しタリアセンに入所。(同僚に、リチャード・ノイトラ、アドルフ・シンドアーがいた)帰国後大倉土木(現……
繋虹梁(つなぎこうりょう)
妻入(つまいり)
建物の妻側に主出入口があることをいう。妻側とは建物の屋根の大棟と直角な側面であり、大棟と平行な側面は平側という。妻とは、端の意味で、切妻屋根は両端を切っているのでその名がある。
妻木頼黄(つまきよりなか、1859~1916)
江戸旗本の生まれ。コンドルに師事、コーネル大学卒。数多くの官庁建築を手掛けた。作品には、東京府庁舎、東京商工会議所、横浜正金銀行本店(現神奈川県立博物館)、日本赤十字社本社、日本橋、旧山口県庁舎(現山……
鶴亀蓬莱石組(つるかめほうらいいわぐみ)
作庭において、中国の神仙思想を基に、理想郷とされる蓬莱島や長寿のシンボル鶴や亀を現す石組を据えてその世界を抽象的、象徴的に表現したもの。神仙思想とは、古代中国で、人の命の永遠であることを神人や仙人に託……
デ・ステイル(で・すている)
De Stijl。1917年、オランダのライデンでT.v.ドゥースブルグを中心として結成された造形運動で、同盟の機関誌を発行した。「ステイル」とは、オランダ語で「様式」を意味する。
運動には、P.モ……
帝冠様式(ていかんようしき)
昭和初期において、ナショナリズム(民族主義・国家主義・国民主 義・国粋主義などと訳され、種々ニュアンスが異なる)の台頭を背景として、無国籍または国際的な近代主義建築に対抗して主張された様式のこと。構造……
馬蹄形アーチ(ていてつがたあーち)
horseshoe arch。馬蹄の形をしたアーチ。半円アーチ の変形で、4分の3円を基本とするもの。丸型馬蹄形や尖り馬蹄形もある。
出組(でぐみ)
屋根を支える軒桁(丸桁)を前に出して、柱心から軒先までの出を深くする手法の一。柱上の出三斗を受ける大斗から壁面とは直角に枠肘木の一つを前方へ突出し、この上に壁面と平行に軒桁を承ける平三斗を載せたもの。……
テッセラ(てっせら)
tessera。建築物の床や壁面或いは工芸品の装飾のために施されるモザイク(mosaic)制作において、漆喰の中に埋め込まれるサイコロ状の小片のこと。一辺が数ミリから30ミリほどで、大理石・貴石・ガラ……
テューダーアーチ(てゅーだーあーち)
tudor arch。「尖頭」と「オジー」の中間のアーチ。つぶれた形の扁平な「尖頭アーチ」ともいえる。
テューダー様式(てゅーだーようしき)
Tudor style。英国の15世紀末頃から17世紀初頭までの建築様式。ばら戦争の終結とともに、後に「テューダーの平和」と呼ばれる時代が訪れると、1530年代には建物の様式がゴシック様式から変化が生……
テラコッタ(てらこった)
terracotta。元来「素焼き」の意。建築物の外装用、特にパラペ
ット・蛇腹・柱頭などの複雑な模様のある大型の粘土製品のこと。深
みのある赤褐色のものが多く、煉瓦より硬質である。
テラゾ(てらぞ)
terrazzo。人造石の一種で、メッシュを入れたモルタルを下塗りした上に、大理石・蛇紋岩・花崗岩などの粉砕粒に顔料・白セメントを練り混ぜたモルタルを塗り、硬化時を見はからって表面を研磨し、艶出しして……
照り起り屋根(てりむくりやね)
照り屋根(てりやね)
天蓋(てんがい)
仏像の頭上に懸け吊るされた蓋状の覆いのこと。原意は、印度の貴人が外出時に使う「蓋」をさす。「裂(きれ)」を張った「裂蓋」の他、木製・金属製もある。四周の縁に「瓔珞(ようらく)」を垂らす。(瓔珞とは、大……
天狗垂木(てんぐだるき)
天竺様(てんじくよう)
天井長押(てんじょうなげし)
デンティル(でんてぃる)
dentil。歯飾り。ギリシャ・ローマ建築の「コーニス」に見られる小さな直方体の連続装飾のこと。その形の歯が並んだように見えることから名付けられた。語源はラテン語のdensで歯を意味する。
ドーマー窓(どーまーまど)
dormer window。屋根窓。西洋住宅において、屋根裏部屋に採光するために屋根面に設けられた窓で、一般に切妻の小屋根と矩形の開口部を持つ。ときには、円形屋根と「牛眼窓」を組合す例もある。
トーマス・ウォートルス(とーます・うぉーとるす Thomas James Waters 1842~1898)
英国の土木技術師。幕末期、グラバーの紹介で薩摩藩の鹿児島紡績所などの工事に携わり、長崎に行きグラバーの元で働く。1868年貨幣司に雇用され、大倉省・工部省に在籍。デザインは、古典主義建築(ジョージアン……
ドーム・ドゥオーモ(どーむ・どぅおーも)
英/dome、伊/duomo。或いは丸屋根は、建築における屋根形状の一つで、半球形をしたものをいう。アーチの頂部を中心に水平に回転させた形状のものがドームである。
構造的にもアーチと類似しており、自……
土居桁(どいげた)
塔(とう)
「塔」とは、インドにおいて仏教とともに発生した構築物で、仏陀の遺骨を奉安し供養するために営まれた象徴的な意味での「墓」である。「塔」というのは、当時の口語バーリ語の「トフバ」が中国に伝来し「塔婆」と音……
銅板葺(どういたぶき)
金属板葺に銅板を用いるもの。江戸時代以降に使用されるようになった。
胴張(どうばり)
「曲面が、同一円弧である」ことを前提とすれば、以下のような仮説が成り立つはずである。(あくまでも仮説であり、検証はしていない。)
「胴張」の場合を示す。①先ず、柱の縦断面の矩形を仮に描く。②柱頂の末……
通し貫(とおしぬき)
通肘木(とおしひじき)
斗栱組物(ときょうくみもの)
柱頂部にあって、軒の出を支える架構装置の総称である。基本は、方形の「斗(ます)」と「栱(ひじき)」(すなわち「肘木」のこと)という、単純な二材の組合せによって構成される。
先ず、柱上に「大斗(だいと……
斗繰(とぐり)
床の間(とこのま)
座敷飾りのひとつで、床柱・床框・床畳または床板・落掛・床天井等で構成される。掛軸と三具足(花瓶、燭台、香炉)を飾るなどの空間。室町無時代の上段または押板床を原形とする。
トスカーナ式オーダー(とすかーなしきおーだー)
Tuscan order。まさに無装飾な「エンタブレチュア」以外はドリス式に似ている。柱身はまったく フルーティング(溝彫り)が施されない。
土蔵造(どぞうづくり)
骨組みは木造(木骨)で、外部は土壁で塗りこめて柱・梁などの木部を露出させない大壁とし、内部は木部が見える真壁とした構造で、壁厚は20~30センチほどになる造り方をいう。壁仕上げは漆喰塗とすることが多い……
飛石(とびいし)
庭園内を歩きやすくするために配置された石で、景色としての意匠的な要素もある。普通、上面が平らな自然石であるが、切石や伽藍石(がらんいし=寺院等の礎石を転用したもの、またはそれに似せた石)、臼石など加工……
土庇(どびさし、つちびさし)
地面に柱を立て、深く張り出させた庇で、独立した柱・桁で支えられている。吹放ちで床は張られず、農家住宅では庇下は縁側に代わる縁空間として農作業の場ともなる。茶室や数寄屋建築などでは玄関入口通路や歩廊とさ……
土間(どま)
屋内で、床が地面のまま、あるいは三和土(たたき)、砂利敷、石張、タイル張、モルタル塗、コンクリート押え等で地面高さ近くで仕上げられたもの。
留蓋瓦(とめぶたがわら)
役物瓦のひとつで、雨仕舞のために隅棟の尻部分(軒先から見えない側)を覆う瓦である。立浪模様、獅子、鳩、植物などの飾りが乗せられ、装飾的な意味もあわせ持つ。入母屋屋根において降り棟が設けられていない場合……
巴文(ともえもん)
トライアンファルアーチ(とらいあんふぁるあーち)
triumphal arch。凱旋門。
トラバーチン(とらばーちん)
travertine。あたかも虫に浸食されかのような小さな孔状の傷を有する、淡褐色或いは茶褐色の大理石。その多孔質に趣があるため装飾用として用いる。「石灰華」ともいう。
トランセプト(とらんせぷと)
transept。袖廊(そでろう)。翼廊ともいう。教会堂建築において、「身廊」に直交する廊が設けられて十字形(ラテン十字)の平面を形作ったときの腕の部分。
従って、南北に走るこの廊は、南の袖廊と交差……
ドリス式オーダー(どりすしきおーだー)
Doric order。最も期限の古い オーダー で、円柱に礎盤(柱基)を持たない点が独特。柱頭は無装飾で、柱身には フルーティング(溝彫り)が施される。
ドリップストーン(どりっぷすとーん)
dripstone, weather moulding。雨押え石。アーチ・窓・出入口の上部に雨水を避けるために設けられる モールディング。
トリビューン(とりびゅーん)
tribune。古代ローマの指揮官トリプヌスに由来する英語のカタカナ表記で、バシリカ における最高行政官の席のことが転じて一般に「演壇」を指すようになる。また、教会堂建築内の「グランド・アーケード」と……
トレーサリー(とれーさりー)
tracery。ゴシック建築において、窓面を細分化する装飾的な組子部材、その手法のこと。
な〜の
内外陣境(ないげじんざかい)
内陣(ないじん)
「金堂」・「本堂」建築の平面構成の大まかな変遷を述べておく。
先ず、法隆寺金堂は、内部に礼拝空間を持たず、礼拝者は内部に立ち入らないことが基本であった。南庭に据えられた「礼拝石」や「回廊」で仏事が行……
内陣柱(ないじんばしら)
内藤多仲(ないとうたちゅう、1886~1970)
佐野利器 に師事。戦前より数々の構造設計を手掛け、「耐震構造の父」といわれる。山梨県出身。東京帝国大学卒。戦後は、電波塔・観光塔の設計を手掛け「塔博士」と呼ばれた。構造設計としては、旧大阪商船神戸支店……
内々陣(ないないじん)
中備(なかぞなえ)
中塗り留め(なかぬりどめ)
なかぬりどめ
長野宇平治(ながのうへいじ、1867~1937)
辰野金吾 の弟子。明治後半・大正期の建築家。新潟県高田市生まれ。東京帝大造家学科卒。数々の銀行建築を手掛け、古典主義様式を極める。晩年は、神話の世界まで遡り、プレ・ヘレニック様式を再現する。1917年……
中村鎮(なかむらまもる、1890~1933)
日本における鉄筋コンクリート技術の先駆者の一人。「中村式コンクリートブロック構造」の発明者。(通称「鎮ブロック」と呼ばれる)福岡県糸島市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒。作品には、日本基督教団本郷……
中村輿資平(なかむらよしへい、1880~1963)
明治期から昭和期にかけて活躍した建築家。朝鮮や旧満州及び静岡県などにおいて多くの銀行や公共建築の設計を手掛けた。静岡県浜松市生まれ。東京帝国大学建築学科卒。辰野葛西建築事務所に入所。後年独立。作品には……
長屋門(ながやもん)
近世武家や庄屋等の屋敷の門形式の一。横長建物の中央付近を通り抜けできるもので、門部分の主構造は桟梁を受ける冠木と二本の親柱で、二枚の門扉と潜り戸をつける。扉脇の部屋は家臣や下僕の居所・物置等とされる。……
流造(ながれづくり)
神社本殿形式の一。切妻造で平入の前流れがやや長く延びて向拝となるもの。正面中央に板扉を設け、他の柱間を横羽目板張りとし、周りに勾欄付きの縁をめぐらして階段及び浜床を設ける。宇治上神社本殿はその最古例。
投掛け梁(なげかけばり)
小屋梁の一。梁間の中央付近(桁行方向)に通した敷梁に向かって、前後から架けて敷梁上で継ぐものをいう。
長押(なげし)
「長が押し(ながおし)」の略。実は、中国・韓国には「長押」に相当する部材は無く、我が国独自に発達したものであるといわれる。
飛鳥奈良時代の木造建築の柱には、柱頭に落し込まれた「頭貫(かしらぬき)」と……
波江悌夫(なみえやすお、1885~1965)
大阪を中心に活躍した建築家。東京生まれ。東京帝国大学工科大学建築学科卒後、片岡建築事務所を経て、大阪市営繕建築家課長に就任。後に波江悌夫建築事務所開設。作品には、大阪毎日新聞本社(片岡建築事務所で基本……
双堂(ならびどう)
この「正堂(しょうどう)」と「礼堂(らいどう)」の「双堂」の形式が発展し、一つの大屋根に納められたのが、いわゆる「本堂」形式であると考えてよい。東大寺法華堂の場合は、大屋根を架ける技術がまだ未成熟であ……
新家孝正(にいのみたかまさ、1857~1922)
江戸生まれ。工部大学校造家学科卒。宮内省・逓信省、後に日本土木会社(大成建設の前身)に入社。作品には、山縣有朋別邸/無鄰庵洋館、旧学習院初等科正堂(重文/成田市に移築)、東京国立博物館/表慶館(片山東……
仁王門(におうもん)
寺院の門形式の一。左に密迹金剛、右に那羅延金剛の二体の像を安置する三間一戸の門形式。屋根形式や屋根材料は一定せず、一重も二重もある。一重の際は八脚門となる。神社・廟の随身像を安置する随身門と類似する。
西村伊作(にしむらいさく、1884~1963)
日本の教育者で文化学院の創始者。大正・昭和期に活躍した建築家・画家・陶芸家・詩人・生活文化研究家。和歌山県新宮市生まれ。母方の西村家(奈良県下北山村・和歌山県北山村一体の山林王)の当主となる。広島県の……
西村好時(にしむらよしとき、1886~1961)
旧第一銀行など、多くの銀行建築を設計した建築家。東京生まれ。東京帝国大学建築学科卒。曽禰中條建築事務所・清水組を経て第一銀行建築課長となる。作品には、旧第一銀行熊本支店(現ピーエス熊本センター)、旧第……
躙口(にじりぐち)
ニッチ(にっち)
niche。壁龕(へきがん)。壁を凹状に抉った部分で、しばしばアーチや半ドームで覆われ、エディキュラや花瓶などの置かれる壁の窪みのこと。
二方差し(にほうさし)
胴差や差鴨居や足固め等の大断面横架材と柱との接続方法を表すもので、柱と二面接続する場合は二方差しと呼び、三面や四面以上接続する場合では三方差し、四方差しと呼ぶ。
貫構法(ぬきこうほう)
飛鳥時代の仏教建築の渡来は、日本の長い原始の眠りからの目覚めであったが、その当時の建物は、「頭貫(かしらぬき)」や「飛貫(ひぬき)」と呼ばれる横架材は用いられてはいたが、横力をあまり考慮しない、「柱」……
拭板敷(ぬぐいいたじき、しきいたじき)
日本の建築は素木(しらき)が中心で、その仕上げの美しさは昔から日本人に好まれてきた。脱靴して、素足でその上を歩行し、足裏の感覚を鋭敏なものとしてきた。(脱靴をしない欧米の文化とは大きな違いがある。)木……
布敷(ぬのしき)
濡縁(ぬれえん)
ネイブ(ねいぶ)
nave。身廊。教会堂建築において、中央の細長い広間の部分。ラテン語で「船」を意味するnavisから出た語。「ナビゲーション(航海・航海術)」も同義語である。
ネオクラシシズム様式(ねおくらししずむようしき)
Neo-Classicism style。新古典主義様式。18世紀に、バロックやロココの典雅な趣味に対する反動として興り、19世紀前半期まで続いた建築の動向で、古典古代の再認識を基盤とするもの。ロマン……
ネオグリーク様式(ねおぐりーくようしき)
Neo-Greek style。一般に古代ギリシャ建築の復興を目指す動きのことで、18世紀から19世紀前半期にかけて起った新古典主義の一つ。英国のJ.ソーン、独国のK.F.シンケルはその代表建築家。「……
ネオゴシック様式(ねおごしっくようしき)
Neo-Gotjhic style。一般に中世ゴシック建築の復興を目指す動きの様式。精神史的にはロマン主義の一つの形態であり、建築様式としては「ピクチャレスク」という概念に包まれる。
その起源は英国……
ネオバロック様式(ねおばろっくようしき)
Neo-Baroque style。欧州の19世紀後半期に見られる芸術の一傾向で、バロック的な動感豊かな表現を目指すもの。新古典主義に対する反抗であり、回が・彫刻・工芸の各分野に見られる動向であるが、……
ネオルネサンス様式(ねおるねさんすようしき)
Neo-Renaissance style。19世紀における「ネオグリーク」「ネオバロック」など一連の一種の歴史主義的動向のなかで、ルネサンス建築の復興を目指すもの。F.v.ゲルトナーやG.ゼンパーな……
根太天井(ねだてんじょう)
民家において、つし二階等の大引や根太に厚い床板を張って階下の天井としたもの。踏み天井とも呼ぶ。簀子天井は、竹を並べて編み、その上に蓆を敷いて粘土を載せたものをいう。屋根裏の防火上の工夫の一つとされる。……
能舞台(のうぶたい)
能楽を演じる舞台。京間三間四方の本舞台の奥に一間半三間の後座、右脇に半間三間の地謡座をつけ、鏡の間と後座との間に斜交する橋掛りをかけたもの。本舞台・橋掛り・楽屋などは屋根掛け、見所は露天のままとする。……
軒唐破風(のきからはふ)
室町時代の大阪の神社建築には、「軒唐破風」を持ったものが何故か多い。「意賀美(おがみ)神社本殿」「錦織(にしごうり)神社本殿」「多治速比売(たじはやひめ)神社本殿」そして「観心寺訶梨帝母(かりていも)……
野口孫市(のぐちまごいち、1869~1915)
明治・大正期に活躍した建築家で、住友営繕の基礎を築いた人物。姫路市生まれ。東京帝国大学造形学科卒。欧州視察で、ロンドンの後期ヴィクトリア様式を学ぶ。作品には、大阪府立図書館(府立中之島図書館/増築部設……
野田俊彦(のだとしひこ、1891~1929)
大正期から昭和初期、官公庁系の職場に奉職した建築家。近代日本建築史上では「建築非芸術論」などを著した論客としての側面で知られる。彼に芸術に対する理解がなかった訳では決してなく、その主旨は、装飾を排した……
昇り勾欄(のぼりこうらん)
野物(のもの)
野屋根(のやね)
は〜ほ
ハーフティンバー様式(はーふてぃんばーようしき)
half-timber construction style。アルプス以北の欧州(英・独・仏)の木造建築に多く見られる技法で、特に15世紀から17世紀において、英国の住宅に多用された。
「半木骨造」……
配付垂木(はいつけだるき)
拝殿(はいでん)
パイロン(ぱいろん)
pylon。塔門と訳される。古代エジプトの神殿の入り口にある門のことで、二つの台形状の建造物を結んだ構造である。因みに、工事現場で見かける「コーン」の正式な名称は「パイロン・コーン」である。
バウハウス(ばうはうす)
Bauhaus。1919年、独国のヴァイマルにW.グロピウス(1926、バウハウス校舎)を校長として創設された国立の造形学校。急進的な教育理念の故に、やがて右傾化する政情のなかで存続することができず、……
階隠(はしかくし)
端喰戸(はしばみど)
バシリカ(ばしりか)
basilica。古代ローマ時代に、裁判や商取引などのために用いられた公共建築物。通常は細長い矩形の平面を持つ建物で、内部は列柱によって三つの廊下状の空間に分割される。最も奥の、しばしば半円形に突出し……
長谷部鋭吉(はせべえいきち、1885~1960)
日建設計の母体の長谷部竹腰建築事務所の創業者の一人。札幌生まれ。東京帝国大学建築学科卒。作品には、住友ビルディング(大阪)、泉屋博古館、日本生命保険本社、カトリック芦屋教会、大阪カテドラル聖マリア大聖……
撥束(ばちづか)
八幡造(はちまんづくり)
神社本殿形式の一。三間二間の本殿の前に三間一間の前殿を建て、その間を相の間(合の間ともいう)として前後別々の屋根を架けて二棟を一棟のように扱ったもの。仏堂の双堂と同趣。九州の宇佐神宮本殿はこの代表例。
八角円堂(はっかくえんどう)
平面が八角の仏堂の総称。法隆寺夢殿、栄山寺八角円堂、興福寺北円堂などがある。多くは故人の霊をまつわる塔廟の性格を持つ。屋根は八つの流れで八注という。同様に、平面が六角の仏堂を六角堂と呼び、例は少ない。……
法堂(はっとう)
仏法を講じる禅宗建築の一。他宗の講堂に相当。三門・仏殿・法堂の順に一軸線上に並び、形態は仏殿と同一で、仏殿より大きくつくられることもある。方三間の身舎の四周に一間通りの裳階をつけ、内部は土間床とする。
バットレス(ばっとれす)
buttress。控壁のこと。一般に、壁に加わる側圧に耐えてその倒壊を防ぐために、壁から突出して設けられる補強用の壁。ときに、主として装飾的な役割を果たす付柱を指すこともある。
特に、ゴシック教会堂……
パティオ(ばてぃお)
patio。スペインやラテンアメリカの住宅に見られる、噴水や植栽などを配した中庭のこと。食堂や応接室・居間などに連続する屋外空間で、床はタイル張りで内部と一体的に使用する。アーケード や列柱廊によって……
鼻隠(はなかくし)
桔木(はねぎ)
日本の「和様」では、下から見える化粧材としての軒天と、その上に見えていない「野物(のもの)」と呼ばれる構造材とが、平安時代末期ごろに分離して、それぞれ別々に構成されるようになる。すなわち、その後、屋根……
パビリオン(ぱびりおん)
pavilion。元は、建物から突出している装飾的な部分や、大きな建物から分離されている建物をいう。後に、庭園・公園・レクリエーション施設などに設けられる軽快な装飾的構築物や、博覧会で個々の出展者によ……
破風(はふ)
通常、「破風板」だけでなく、妻側にある付属物も含め、総称として「破風」と呼ばれる。
屋根形式として、「切妻破風」「入母屋破風」「切破風」などがある。
「破風板」の形状として、「直破風(すぐはふ)」……
破風の立所(はふのたてどころ)
浜床(はまゆか)
神社において、本殿などの向拝下にある低い縁。宮司伺候の場、「浜縁」ともいう。民家では縁台や縁側、式台等を指すこともある。
……
バラスター(ばらすたー)
baluster。欧州の伝統的な建築における手摺を支える「手摺子・手摺束」のこと。通常は、断面が円形で繰型(モールディング)が施される。また、椅子の背凭れとして用いられる垂直材も「バラスター」と呼ぶ。
パラペット(ぱらぺっと)
parapet。胸壁、扶壁と訳す。本来は、建物の屋上や吹放し廊下の手摺壁、橋の欄干 を指す語。現代では、陸屋根の屋上の外周に沿って立ち上げ、防水層の端部の納まり上の役割をはたす腰壁のことを指す。
薔薇窓(ばらまど)
rose window。丸窓の一形態。その「トレーサリー」が薔薇の花のように造られていることから付けられた名称。特に12~13世紀のゴシック教会堂では、西正面の身廊及び南北の袖廊の正面に、象徴的なステ……
張付壁(はりつけかべ)
バルダッキーノ(ばるだっきーの)
baldacchino。天蓋。キリスト教教会堂において、中央祭壇の上方に設けられる覆いのこと。4本の柱で支えられるか、魔らは鎖で吊るされる。
バロック様式(ばろっくようしき)
Broque style。1600年頃から1730年頃にかけて全欧に広まった建築様式。「バロック(歪んだ真珠)」の語が示す通り、荘重端正なルネサンスの古典主義建築に対し、流動的なリズム感、豪華絢爛たる……
半円アーチ(はんえんあーち)
semi-circular arch。ロマネスク建築の特徴の一つ。半円形のアーチであることの必然として、柱の間隔によってサイズが決まり、異なる間隔の場合は、アーチの頂部の高さが揃わないという不都合が生……
版築(はんちく)
砂と粘土(石灰を混ぜた良質な粘土)とを交互に層状にして突き固める工法で、古代より城壁や建築物の基壇、土塀の構築に用いる。一方、瓦と粘土を交互に積重ねて造った土塀は練塀といい、寺院や民家にその例が多い。……
半長押(はんなげし)
ハンマービーム(はんまーびーむ)
hammer beam。室内において、壁の上端から突出した片持ち梁を挺出させ、その上に立つアーチ材で棟木や梁を支えるという小屋組のこと。
柱のない広い空間をつくるための英国ゴシック建築に見られる木造……
ビード(びーど)
bead。玉縁飾り。古典建築において、入隅部に用いる半球状の繰型のこと。
ピア(ぴあ)
pier。単一部材または短い円筒状部材を積み重ねた円形断面の「円柱(コラム)」に対し、各層ごとに数個の部材を組み合わせてつくられた、断面が正方形・多角形・円形或いはこれらを組み合わせた複雑な形を持つ太……
飛檐垂木(ひえんだるき)
ピクチャレスク(ぴくちゃれすく)
picturesque。元来は芸術・生活備品などにおいて、他の時代・環境・流行などの雰囲気を感じさせる美的な感覚またはその様式を指すが、建築では特に、18世紀後半の英国で起こって19世紀中頃まで全欧や……
庇(ひさし)
肘木(ひじき)
形状・繰形のそれぞれの特徴を列記してみる。「和様肘木」は、「肘木」の下端の繰り上げ曲面が、「木口(切り口)」のところで縦に切られているのが最も分かりやすい特徴である。法隆寺の建物は、「肘木」の上端に「……
菱曲をとる(ひしぐせをとる)
歪高塀造(ひずみたかへづくり)
日高胖(ひだかゆたか、1875~1952)
旧住友財閥において、多くの建造物を手掛ける。アールヌーヴォー様式 の神本理髪店(現存せず)の設計や、住友ビルディングの建設の総指揮をとったことなどで知られる。東京生まれ。東京帝国大学工科大学建築学科卒……
一筋子持ち障子(ひとすじこもちしょうじ)
ピナクル(ぴなくる)
pinnacle。小尖塔・飾り尖塔。ゴシック建築において、「バットレス(控壁)」の頂部や飾り破風の両側に設けられるさまざまに装飾された小さな塔。ヴォールト の横圧を均衡状態に保つ目的で設けられる場合も……
飛貫(ひぬき)
表現主義(ひょうげんしゅぎ)
Expressionism。美術のおいては、特に第一次世界大戦前の独国を中心に展開した近代美術の一傾向を指す。1905年に、ドレスデンでE.ケッヘル、E.L.キルヒナーらによって組織された「ブリュッケ……
瓢箪猪の目(ひょうたんいのめ)
日吉造(ひよしづくり、ひえづくり)
神社本殿形式の一。大津市坂本の日吉大社にみられる。三間二間の身舎の前方と左右の三方に庇がめぐられ、一つの屋根の下にまとめられたもので、正面は入母屋造平入、背面は庇がなく袴腰風となるので聖帝造ともいう。……
ピラスター(ぴらすたー)
pilaster。装飾用付け柱。柱型。壁面より幾分突出した方形断面の柱のこと。
平林金吾(ひらばやしきんご、1894~1981)
愛知県豊山町生まれ。平林家の養子となり東京に移住。東京高等工業学校(現東京工業大学)卒。高橋貞太郎 の勧めで内務省に入省。後に宮内省に移り、同僚だった岡本馨との連名で大阪府庁舎のコンペに応募し一等当選……
平松英彦(ひらまつひでひこ、1894~1928)
東京高輪生まれ。京都帝国大学工学部建築学科卒。武田五一 に師事。大林組の建築設計者として活躍、本店の外観意匠に携わるなど将来を嘱望されていたが34歳の若さで逝去した。作品は、旧大林組本社屋の外装意匠(……
鰭(ひれ)
広縁(ひろえん)
古くは「寝殿造」においては「母屋」と「庇」の外側に「孫庇」に相当する「広庇(ひろびさし)」を設けた。
「母屋」と「庇」は、同一のレヴェルであるが、「広庇」は「切目長押」一段分だけ低く、身分の低い者が……
広小舞(ひろこまい)
数寄屋大工(住宅系)が「広小舞」及び「淀」と呼ぶ部材を、宮大工(社寺建築系)は「茅負」及び「裏甲(うらごう)」と呼ぶものと理解してよいだろう。
尚、「小舞(木舞)」とは、通しで用いる細長い角木のこと……
ピロティ(ぴろてぃ)
仏/pilotis。原義は、建物を支える「杭」の意。建物を支持する独立柱が並ぶ吹放ちの空間を指す。
1926年、ル・コルビュジェ とピエール・ジャンヌレが提唱した近代建築の五原則「ピロティ・屋上庭園……
檜皮葺(ひわだぶき)
檜の樹皮を屋根葺材としたもの。止水性がよいことで屋根勾配は比較的緩くすることができ、屋根全体の姿が軽快で優美。また、杮葺や杉皮葺等に比して耐久性や防火性もよい。宮殿や社寺建築などに用例が多くみられる。
ファサード(ふぁさーど)
仏/façade。建物正面。通常は、正面玄関側の立面をいうが、外観として重要な面であれば側面又は背面をもファサードと呼ぶこともある。因みに教会堂建築のファサードは、敷条件上の制約のない限り西面である。
吹抜(ふきぬき)
吹抜は上下階の床の一部ないし全部が抜けて、上下階が空間的に一体となる状態をいう。吹放は、建物の外周部の柱間において、小壁以外に建具などの柱間装置が建て込まれていない状態をいう。
吹寄垂木(ふきよせだるき)
覆輪(ふくりん)
複廊(ふくろう)
藤井厚二(ふじいこうじ、1888~1938)
日本の建築環境工学の先駆者の一人。住宅建築の秀作が京阪神間に残る。広島県福山市生まれ。東京帝国大学建築学科卒。竹中工務店勤務を経て京都帝国大学教授。作品には、村山邸(香雪美術館内)、喜多源逸邸、聴竹居……
襖障子(ふすましょうじ、ふすま)
襖のこと。唐紙障子ともいう。木で骨を組み両面から紙または布を張り、縁と引手を取り付けた戸。襖縁には上下縁・竪縁・定規縁がある。坊主襖はこの襖縁のないものをいう。草庵数寄屋(茶室)の太鼓張り襖がその例。
ニつ斗(ふたつど)
ニつ斗
二軒(ふたのき)
上下二段で出の異なる垂木からなる軒。社寺建築にみられるもので、上段を飛檐垂木、下段を地垂木という。二軒に対して、地垂木のみからなるものを一軒という。飛檐垂木が二段となるものは三軒というが、例は少ない。……
筆返(ふでがえし)
舟底天井(ふなぞこてんじょう)
舟肘木(ふなひじき)
「舟肘木」は、仏堂よりも神社・宮殿・方丈・住宅などに用いられることが多い。東福寺塔頭方丈である「龍吟庵」(現存する日本最古の方丈建築)にも用いられているが、開口部を広げた北側の室のそれは、「添え梁」の……
踏込床(ふみこみどこ)
床の間の一形式。床框なく地板の上端を畳面と同じ高さにしたものを踏込床といい、もっとも簡易な床形式である。それに対して、蹴込床は地板をやや高くして畳面との間に蹴込板(多くは銘木)や竹などを挿入したもの。
フライングバットレス(ふらいんぐばっとれす)
flying buttress。飛控え。ゴシックの教会堂建築において、身廊部を覆う ヴォールト の側圧を外側の バットレス に伝えるために、側廊の屋根の上に架け渡された石造のアーチのこと。
フランク・ロイド・ライト(ふらんく・ろいど・らいど Frank Lloyd Wright 1867~1959)
米国の建築家。「近代建築三大巨匠」の一人。L.H.サリヴァンのもとで働いた後独立。初期の住宅建築は、既に独自の空間構成を示し「大草原様式」と呼ばれた。シカゴのロビー邸はその頂点であり、東京の旧帝国ホテ……
フリーズ(ふりーず)
frieze。エンタブレチュア の コーニス と アーキトレーブ の間の帯状の面のこと。
フリーズソレイユ(ふりーずそれいゆ)
brise-soleil。元来は、「日除け」の意。今日では、日照調整の手段としてを建築化したものを指す。ル・コルビュジェ が積極的に作品に用いた。「ルーバー」はその部材名称。
フルーティング(ふるーてぃんぐ)
fluting。溝彫り。古代建築において、柱身に縦方向に刻まれた溝。ドリス式オーダー では、溝と溝のIだが鋭角になっているのに対して、イオニア式オーダー では、溝の間に平縁がある。いずれにしても柱の垂……
ブルーノ・タウト(ぶるーの・たうと Bruno Julius Florian Taut 1880~1938)
独国出身。表現主義建築で名を馳せる。ナチスの迫害により日本に亡命。日本建築の伝統美を見出し「桂離宮」「合掌造り」などを世界に紹介する。(その案内人は、逓信省の 吉田鉄郎 であったといわれる)実業家日向……
吉塚正治(ふるづかまさはる、1892~1976)
阪神間モダニズムを代表する建築家の一人。兵庫県西宮市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒。宮内省内匠寮勤務。後に西宮で建築設計事務所を開設。神戸高等工業学校(現神戸大学工学部)講師就任。作品には、正司……
分離派建築会(ぶんりはけんちくかい)
大正9年(1920)に東京帝国大学建築学科を卒業した6人が結成したグループで、その活動は日本で初めての近代建築運動とされる。彼らは自分たちの理想の建築像を、百貨店などでの展覧会と出版物によって、一般公……
ベイ・ウィンドウ(べい・うぃんどう)
bay window。張出し窓。長方形や多角形をなして壁面から突出して、数階通しで設けられる。弓形の場合は「ボウ・ウィンドウ」上階のみに設けられている場合は「オーリエル・ウィンドウ」と呼ぶ。
平行垂木(へいこうだるき)
幣軸(へいじく)
「板扉」と「枠(額縁)」の納まりには、定まった形式がある訳ではない。古式は、「唐戸面」をもった「幣軸」を用いておらず、法隆寺金堂の場合は、「辺附(へんつけ)」と呼ばれる矩形の「五平(ごひら)」の材を「……
平地伽藍(へいちがらん)
山地伽藍(密教等)に対する呼称で、これまでの古代寺院やその後の鎌倉新仏教(禅宗等)以降のものはその類に属する。主として平坦地において軸線上に主要な建築物が対称的に整然とした配置を見せる伽藍形態を指す。
幣殿(へいでん)
ペディメント(ぺでぃめんと)
pediment。切妻屋根の三角破風、水平の コーニス と傾斜したレーキングコーニスとによって囲まれた三角形の切妻壁のこと。古典主義以外では「ゲイブル」と呼ぶ。
ペデスタル(ぺですたる)
pedestal。古典建築において柱を載せる台。台座。柱礎。
ペンダント(ぺんだんと)
垂飾り。天井や屋根から下方に突出するか垂れ下がる細長い飾りのことを指す。現代は、装身具や吊り下げ式照明器具もそう呼ぶが、語源はラテン語のpendere(垂れ下がる)である。
ヘンリー・キラム・マーフィー(へんりー・きらむ・まーふぃー Henry Killam Murphy 1877~1954)
米国の建築家。米国北東部、中国、日本において数多くの住宅、学校施設の設計を手掛ける。米国コネチカット生まれ。イェール大学卒。リチャード・ヘンリー・ダナと共同で設計事務所を開設。日本での作品には、立教大……
ポーチ(ぽーち)
porch。使用範囲の広い語である。元来は、門・入り口・通路を意味する。
建物の本体とは別の、雨を避ける庇を持ち、壁体から突出している建物の入り口部を指したり、またコロネードのように、柱に支持された……
方形造(ほうぎょうづくり)
方形造とはいわゆる屋根形状を表す言葉である。平面が正方形の場合四面とも同じ形状で、頂点が一つに集まる屋根形状をいう。四注造とも呼ばれる。平面形状が八角形の場合は八注造ともいう。
方丈(ほうじょう)
禅宗寺院において長老や住持の私室または、それを含む住屋。方丈は住居、接客、および修行等の機能を備えている。伽藍のうち法堂背後に位置する場合と、塔頭内に配置される場合とがある。東福寺の竜吟案、大徳寺の大……
宝相華文様(ほうそうげもんよう)
宝相華とは華麗な花という意。唐草模様の一種で、中国の唐時代、日本では奈良時代・平安時代に用いられた装飾的な模様。描かれた植物は架空の植物である。扉の八双金物などに用いられている。
方立(ほうだて)
方柱(ほうちゅう)
正方形の柱のことをいう。古建築でよく出てくる方(ほう)は正方形を表す。方柱の場合、単純な正方形ではなく、各角は面取りが施されている。面取りは数々の種類があり、大面取り、唐戸面などがある。
方斗(ほうと)
宝塔(ほうとう)
架木(ほこぎ)
高欄の一番最上部にあるものを架木という。(高欄とは、縁に巡らせた手摺状のことをいう)架木の下には平桁を通し、下部は地覆を這わせる。
洞床(ほらどこ)
堀口捨己(ほりぐちすてみ、1895~1904)
東大同窓生と結成した 分離派建築会 の構成員の一人。モダニズム建築の設計の傍ら、数寄屋建築の中に美を見出し、伝統文化とモダニズム建築の理念との統合を図る。日本の建築と庭園の関係を「空間構成」として捉え……
本蟇股(ほんかえるまた)
本瓦葺(ほんがわらぶき)
寺院に多くみられる瓦である。平瓦と丸瓦を交互にに用いて瓦を葺く。丸瓦の軒先先端には巴瓦で仕舞をつける。現存する最古の瓦は奈良県の元興寺にある行基葺きの瓦屋根である。行基葺きも本瓦葺きであるが、丸瓦が上……
本殿(ほんでん)
元来は、祭礼に際して、一定期間に限り、神域において仮に設けられた施設に神霊の降下を仰ぎ、祭礼の後に取り壊されるものであった。「大嘗祭」の「悠基(ゆき)」「主基(すき)」などに見られる通りである。「本殿……
本堂(ほんどう)
本間乙彦(ほんまおとひこ、1892~1937)
大正期から昭和式に大阪を中心に活躍した建築家。兵庫県生まれ。東京高等工業学校(現東京工業大学)建築学科卒。大阪市立都島工業高校建築科嘱託教員。作品には、旧芝蘭舎家政学園(現芝川ビルディング、意匠担当、……
本棟造(ほんむねづくり)
本棟造は、長野県の中信地方から南信地方にかけて分布する民家の形式の一つである。一般に、庄屋や本陣などの役人層の住屋形式で大規模なものが多い。切妻造り板葺きで妻入り。緩い屋根勾配や雀おどしと呼ばれる棟飾……
ま〜も
舞良戸(まいらど)
中世において初めて現れた板戸の形式。舞良戸は板の上に舞良子と呼ばれる細い桟と横方向に一定の間隔で取り付けたものである。舞良子の間隔や並べ方にによって、吹寄舞良戸、繁舞良戸などバリエーションが多くある。
前川國男(まえかわくにお、1905~1986)
ル・コルビュジェ、アントニン・レーモンド に師事。モダニズム建築の旗手として、戦後の日本建築界をリードした建築家。新潟県生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒。岸田日出刀 門下生。日本に真正の近代建築を……
前田健二郎(まえだけんじろう、1892~1975)
戦前から戦後にかけて、モダニズム建築とは一線を画した作品を残した建築家。「コンペの前健」の異名をとり、帝国議事堂・大阪市美術館・神戸市公会堂・早稲田大学大隈記念堂・京都市美術館と多くの設計コンペで一等……
前包(まえづつみ)
「入母屋破風」「や「千鳥破風」などの「狐格子(きつねごうし)」(木連格子/きづれごうし)の下端、すなわち屋根の直上に配される水平の横木を「前包」という。古式のものは、「前包」を通って「狐格子」の「縦……
巻斗(まきと)
巻鼻段板(まきばなだんいた)
西洋建築において、階段の一段目を曲線形に広めにとり、片側或いは両側の端部を円形に拡張して、装飾的な親柱を建てるという意匠上の工夫を施す。その部位のことを指す。
楣(まぐさ)
枕捌き(まくらさばき)
長押で床柱を三方まわす事を枕捌きという。床柱の裏面まで長押を回すと、枕捌きというが、裏面まで回さない場合は片捌きと呼ばれる。枕挟み、枕袴、巻裏捌きとも呼ばれる。
孫庇(まごびさし)
柾目(まさめ)
柾目とは木材の繊維が方向にそろっている木目の面を柾目という。木材の中心から年輪に直行方向に板をとると柾目の板が取れる。柱などで四面が柾目の木目を四方柾という。柾目ではない木目を板目という。
増田友也(ますだともや、1914~1981)
独創的な建築空間論を確立後夢窓疎石の禅的な建築空間論研究から、有形の作品を越えて道元の始祖王的世界に昇華し、ハイデッカーの建築存在論へと展開を見せたと言われる。兵庫県南あわじ市生まれ。京都帝国大学工学……
マッス(まっす)
仏/masse。「塊」の意。絵画・彫刻・建築において、全体の中で一つのまとまり:として把握される部分のこと。また、空間の中で一塊りと把握できる総体のこと。
松室重光(まつむろしげみつ、1873~1937)
京都を中心に活躍した建築家。ネオルネッサンス様式の名建築として知られる京都府庁舎旧本館の設計者。京都市生まれ。(実家は、松尾大社の神官を務める家系)東京帝国大学造家学科卒。京都府技師、関東都督府技師な……
マニエリスム(まにえりすむ)
Manērisme。一般に、美術や文芸の制作に当たって著しく既成の手法に依存して新鮮味を欠いていること。すなわち、軽蔑的な意味での「マンネリズム」のこと。イタリアの盛期ルネサンスとバロックの間の時期、……
疎垂木(まばらだるき)
丸畳(まるだたみ)
マンサード屋根(まんさーどやね)
英/mansard roof、米/gambrel roof。上部が緩勾配で下部が急勾配といった二重勾配を持つ屋根で、この空間を利用して屋根裏部屋が設けられる。仏国の建築家F.マンサール(自国の伝統の上……
曼荼羅板(まんだらいた)
密教寺院の「内陣」においては、左右すなわち、「西」に「金剛界曼荼羅」、「東」に「大悲胎蔵生曼荼羅」を掲げる。それらの板壁のことを「曼荼羅板」と呼ぶ。「須弥壇」は「北」に配置されるので、「金剛界」の上……
ミース・ファン・デル・ローエ(みーす・ふぁん・でる・ろーえ Ludwig Mies van der Rohe 1886~1969)
独国出身の米国人。「近代建築三代巨匠」の一人。20世紀のモダニズム建築を代表する建築家。P.ベーレンスの事務所に勤務。1920年代以降、建築空間の処理の上でユニークな才能を発揮して、近代建築の開拓者の……
瑞垣(みずがき)
神社および古墳時代の皇居に巡らした垣。形式、材料などは問わない。伊勢神宮の場合は最も内側の垣をいう。一般の神社では垣は基本的に二重で内側を瑞垣、外側を玉垣という。玉垣も瑞垣と同じく、形式、材料は問わな……
三斗(みつど)
箕甲(みのこう)
曲面状の「箕甲」は、「檜皮葺」「杮葺」だけでなく「本瓦葺」でも用いられる。「瓦葺」の場合、数条の丸瓦と平瓦とも、ほとんどが規格外のサイズであり、役物瓦に近い納まりとなる。江戸時代以降のものや近代のもの……
蓑束(みのづか)
ミノル・ヤマサキ(みのる・やまさき 山崎實、1912~1986)
日系米国人建築家。ワシントン州シアトル生まれ。ワシントン大学件建築学科卒、ニュウヨーク大学院で修士取得。紆余曲折の修行時代を経て独立。作品には、在神戸米国領事館(日本建築学会作品賞)、ワールドトレード……
起り破風(むくりはふ)
起り屋根(むくりやね)
社寺・宮殿・城郭建築などには「照り屋根(反り屋根ともいう)」が最も多く、古式を伝える神社本殿や現代住宅は「直線屋根」であり、「起り屋根」は比較的に歴史が浅く、近世の住宅や関西地方の民家などに多いといわ……
虫籠窓(むしこまど)
京都、大阪、奈良の町屋の厨子二階の道路側に設けられた、縦格子のある窓である。虫籠窓の格子は虫籠格子といい、四寸角の材を六割にしたものに、縄を巻き付けたものを縦格子とし、土を塗りこめてつくる。明治時代に……
無双窓(むそうまど)
無双連子窓の略で、幅のある連子を縦に組んだ窓の内側に同形式の連子の引き戸を取り付け、一方に引けば、窓連子の隙間がふさがるようにしたもの。内側に連子の引き戸を取り付ける事によって、開けているときは、視線……
棟門(むねかど、むなもん)
村野藤吾(むらのとうご、1891~1984)
戦前・戦後を通して、長きに渡り数多くの作品を残す。佐賀県唐津市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒。(入学時は電気工学科)渡邊節 建築事務所に入所。日本興業銀行本店、ダイビル本館、綿業会館などの設計に……
女梁(めうつばり、めばり)
召合せ(めしあわせ)
建具同士を閉めたときに、お互いが接する部分をいう。ふすまなどの引き戸の召合せには定規縁(じょうぎぶち)と呼ばれる部材で隙間を見えなくするおさまりもある。定規縁がない場合は召合せ框(めしあわせかまち)な……
メダリオン(めだりおん)
medalion。紋章。大型のメダルのこと。
面皮柱(めんかわばしら)
面戸(めんど)
モールディング(もーるでぃんぐ)
moulding。刳り形、繰り形。建築・家具・器物などの縁の部分において、凹んで刳ってつくられた特徴のある装飾的な形。陰影を付加する表現手法の一つ。通常、同じ形の断面が連続する。我が国の古建築にも、面……
モイセイ河村伊蔵(もいせいかわむらいぞう、1865~1940)
愛知県南知多町生まれ。神田駿河台の正教会詠隊学校に学ぶ。正教会の聖職者で、明治・大正期に同協会の営繕を務める。河村には建築の心得は無かったが、東京大聖堂(ニコライ堂)や松室地毛密設計の京都ハリスト正教……
裳階(もこし)
持送り(もちおくり)
社寺建築における「持送り」の典型的な例は、「東大寺二月堂」に見られる三段構えの豪壮なものである。他にも、「吉備津神社」の、船の姿を模したような、「縁」を受ける「持送り」も、象徴的であり一間の価値がある……
本野精吾(もとのせいご、1882~1944)
大正期から昭和初期にかけて京都を中心に活躍した建築家。日本におけるモダニズム建築の先駆者の一人。東京都生まれ。東京帝国大学建築学科卒。武田五一 に京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)教授に招かれる。……
モノリス(ものりす)
monolith。一本石。一本石で作った柱・記念碑。例えばオベリスク。
母屋(もや)
「母屋(もや)」(奈良時代は「真屋(まや)」)と呼ばれる切妻屋根建物の中央部分の四周に「庇」空間が取り付いた形式のもので、屋根の接するところに段を設けたものを「錣葺屋根(しころぶきやね)」、
段を付……
森田慶一(もりたけいいち、1895~1983)
分離派建築会 の構成員として活動を始めるが、西洋建築の歴史的研究を経て、ギリシャ・ローマの古典精神を探求し、建築論研究にも力を注いだ建築家。名著「西洋建築入門」(東海大学出版会)の著者。森田の趣旨は、……
森山松之助(もりやままつのすけ、1869~1949)
日本統治時代の台湾で活躍した建築家。大阪市平野町生まれ。(叔父が五代友厚)東京帝国大学工科大学建築学科卒。辰野金吾 に師事。作品には、総督官邸(現台北賓館)、台北州庁(現国立台湾文学館)、久慈宮邸(現……
両折戸(もろおれど・もろおりど)
や〜よ
薬医門(やくいもん)
鎌倉時代末期か室町時代初期の、武家または公家の屋敷などに現れる門形式の一。「本柱」と「控柱」に荷重が分散され構造上の安定が得られるためか、或いは施工性に優れていたのか、後に城郭や社寺にも広く使われるよ……
薬師寺主計(やくしじかずえ、1884~1965)
岡山県総社市生まれ。東京帝国大学工科建築学科卒。陸軍省技師を経て、倉敷絹織株式会社(現クラレ)の取締役に就任。大原家に関わる施設を中心に建築設計を手掛ける。後に株式会社藤木工務店監査役も務める。作品に……
安井武雄(やすいたけお、1884~1955)
大阪を中心に活躍した建築家で、「真にして美なるもの」を追求する自由様式を標榜する。千葉県佐倉市生まれ。東京帝国大学建築学科室。野村財閥の創始者である野村徳七の後援があり安井建築事務所を開設。作品には、……
保岡勝也(やすおかかつや、1877~1942)
三菱の丸の内赤煉瓦オフィス街の設計を手掛けたほか、先駆的な住宅設計でも知られる建築家。東京生まれ、東京帝国大学工科建築学科卒。学長であった 辰野金吾 に師事。岩﨑久弥社長の三菱合資会社(現三菱地所)に……
山田守(やなだまもる、1894~1966)
逓信建築の先駆者の一人で、分離派建築会 の構成員でもある。関東大震災後の復興橋梁のデザインも手掛ける。滑らかな曲線への拘りにドイツ 表現主義 の影響が色濃く見られる。岐阜県羽島市生まれ。東京帝国大学建……
矢橋賢吉(やばしけんきち、1869~1927)
明治建築界の三大巨匠の一人と目される。岐阜県大垣市生まれ。東京帝国大学造家学科卒。大倉省で 妻木頼黄 と出会い、その片腕と言われた。作品には、旧山口県庁舎・県会議堂(現山口県政資料館)、枢密院庁舎(現……
矢部又吉(やべまたきち、1888~1941)
明治末期から昭和初期にかけて横浜で活躍した建築家。横浜市生まれ。工手学校(現工学院大学)卒。妻木頼黄 の元で設計に携わる。後にベルリン工科大学に就学しながらR.ゼールに師事。横浜市内に建築設計事務所を……
山川逸郎(やまかわいつろう、1889~1962)
大阪府高石市生まれ。兵庫県立工業専門学校(姫路工業大学から現兵庫県立大学)機械科卒。ペンシルバニア州立大学の聴講生。高師浜の伽羅橋園の設計者・施工者・経営者である。作品には、旧山川家住宅、赤城宗成家住……
山口半六(やまぐちはんろく、1858~1900)
島根県松江市生まれ。国立パリ中央工芸学校卒。文部省営繕在籍時に多くの学校建築を手掛ける。実務の傍ら、工手学校(現工学院大学)で教鞭をとる。作品には、第三高等中学校寄宿舎(現京都大学吉田寮)、旧東京音楽……
山口文象(やまぐちぶんぞう、1902~1978)
1930~60年代にかけて活躍した近代日本建築運動のリーダーの一人。モダニズム建築デザインと同時に和風建築の名手であった。東京浅草生まれ。祖父は宮大工、父は清水組(現清水建設)の大工棟梁。東京高等工業……
山下啓次郎(やましたけいじろう、1868~1931)
明治・大正期の建築家。鹿児島市生まれ。東京帝国大学造家学科卒。伊東忠太 と同窓で、五大監獄を設計。ジャズピアニストの山下洋輔は孫。作品には、旧千葉監獄、旧長崎監獄、旧金沢監獄、旧鹿児島監獄、旧奈良監獄……
山下寿郎(やましたとしろう、1888~1961)
山形県米沢市生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒。三菱合資会社(現三菱地所)に入社。後に独立し山下寿郎建築事務所(現山下設計)を開設。作品には、日本興業銀行本店、安田生命保険相互本社、宮城県民会館、仙……
山田醇(やまだじゅん、1884~1969)
住宅作家としての道を歩み、和洋折衷住宅を発展させた建築家。子息の病をきっかけに、健康住宅を研究し提唱した先駆者の一人。埼玉家秩父市生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒。(竹腰建造・西村好時・山下寿郎・……
大和棟(やまとむね)
「大和棟」は、大正期以降、今和次郎などの民族学者により唱えられた名称であって、昔からの呼び名ではない。それまでは「高塀造」と書き「たかへ・づくり」と呼ばれていた。関西では「塀」のことを「へい」ではなく……
遣鉋(やりがんな)
現代にみられる台鉋が出現する以前の古代の鉋。遣鉋は柄の先に槍先のような刃物を取り付けた鉋である。法隆寺の宮大工の西岡常一棟梁が再現して実際に使用している。遣鉋で削った後はまっすぐな平面ではなく、凹凸が……
ユーゲントシュティール(ゆーげんとしゅてぃーる)
Jugendstil。「アールヌーヴォー」のドイツ・オーストラリアにおける呼び名。1896年、ミュンヘンで発刊された雑誌「ユーゲント」に因む名称。
結綿(ゆいわた)
有機的建築(ゆうきてきけんちく)
organic architecture。建築物を自然の雄北のような統一体として構成しようとするとき、それを有機的建築と呼ぶ。だが有機的という語の意味は、それを使う人によってさまざまであるため、その概……
遊離尾垂木(ゆうりおだるき)
瓔珞(ようらく)
横河民輔(よこかわたみすけ、1864~1945)
明治の建築家で、日本の鉄骨建築の先駆者。デザイナーというよりは、横河グループを創業した実業家である。明石市生まれ。工部大学校造家学科卒。作品には、帝国劇場、三越、東京銀行集会所、日本工業倶楽部などがあ……
吉田五十八(よしだいそや、1894~1956)
昭和期に活躍し、和風の意匠である「数寄屋建築」を独自に抽象化・近代化した建築家。東京生まれ。(父は太田胃散の創業者。吉田は母方の姓)東京美術大学(現東京芸術大学)卒。岡田信一郎 に師事。母校の教壇に立……
吉武長一(よしたけちょういち、1879~1953)
山口県防府市生まれ。ペンシルバニア工科大学で建築を学ぶ。旧村井銀行本支店や教会建築を手掛ける。「村井家のお抱え建築家」とも言われる。作品には、村井銀行七条支店(現きょうと和み館SECONDHOUSE西……
吉田鉄郎(よしだてつろう、1894~1956)
逓信建築の先駆者の一人で多くのモダニズム建築を設計した建築家。著書の「日本の住宅」は、日本の伝統建築について、独・英語に訳された中で最も影響のあった出版物といわれる。その他「日本の建築」「日本の庭園」……
吉村順三(よしむらじゅんぞう、1908~1997)
日本の伝統文化とモダニズム建築の融合を図った建築家。東京生まれ。東京美術学校(現東京藝術大学)卒。在学中、実測と観察を通して日本の古建築に触れる。アントニン・レーモンド に師事し、モダニズム建築を体得……
寄棟造(よせむねづくり)
寄棟屋根を持つ建物の形式。寄棟屋根とは平面が長方形で、四隅に下棟を持つ屋根形状である。平面が正方形で四隅の下棟が一点に集中屋根形状は方形屋根という。
四脚門(よつあしもん)
二本の円柱の前後に四本の方角の控え柱を配した門の形式を四脚門という。屋根は切妻屋根で、瓦葺きや、杮葺きなど様々な種類がある。門の格式としては最も高い。(しきゃくもんともいう)
ら〜ろ
礼堂(らいどう)
礼拝石(らいはいせき)
ランセットアーチ(らんせっとあーち)
lancet arch。「鋭尖アーチ」ともいう。ゴシック建築の 尖頭アーチ の一種で、アーチを構成する円弧の半径がスパンより長いものをいう。すなわち、柱の間隔の違いに関わらず、アーチの頂点の高さを揃え……
ランタン(らんたん)
lantern。ドゥーモ状の屋根などにおいて、その頂部に設けられ、自然光を取り入れ、換気の役割も果たすための採光塔のこと。後に形状の類似性から、ポータブルな照明器具の呼称ともなる。
欄間(らんま)
天井と鴨居との間に設けられた開口部で、障子、組子、彫物などがはめ込まれたものをいう。採光および通風を考慮して設けられたものであるが、欄間自体が装飾になり、筬欄間、竹の節欄間など、様々な意匠の欄間がある……
リネンフォールド・パネル(りねんふぉーるど・ぱねる)
linenfold panel。英国のチューダー王朝時代に行われた室内壁面の装飾形式。木製のパネルに、布の折り目のようなひだ模様が縦に刻まれたもの。
リヒャルト・ゼール(りひゃると・ぜーる Richard Seel 1854~1922)
独国人の建築家。独国エルバ―フェルト生まれ。E.ベックマン事務所が、日本の官庁集中計画を受注、ゼールも来日。東京裁判所(現最高裁判所)、司法省(現法務省)の庁舎を設計。後、国内に建築事務所を開設。作品……
リンテルストーン(りんてるすとーん)
lintel stone。楣石。石造の楣。組積造の開口部の上部補強にアーチの代わりに楣を用いたものを「楣式構造」と呼ぶ。
ル・コルビュジェ(る・こるびゅじぇ Le Corbusier 、Charles-Edouard Jeanneret-Gris 1887~1965)
スイス生まれの仏国人。「近代建築三大巨匠」の一人。パリのA.ペレの事務所で建築構造を学び、P.ベーレンスの事務所に勤務。早くからドミノ方式の住宅を提案し、住宅の量産化への意欲を示すとともにパリ市立改造……
ルネサンス様式(るねさんすようしき)
Renaissance style。15世紀から16世紀にかけてのルネサンス時代に、先ずイタリアを中心に起り、全欧に広がった古典主義的な建築様式。古代ローマの荘重な様式を理想とし、そのアーチ・ヴォール……
ルネット(るねっと)
仏/lunette。アーチの土台となっている柱の上に水平の「コーニス」を差し渡したとき、その上部のアーチとの間にできる半円形の部分のことをルネット(月形)と呼ぶ。そのルネットが採光用の窓となっている場……
煉瓦積(れんがづみ)
brick masonry。煉瓦を用いて、壁や塀を構築すること。4種類の積み方がある。
①、煉瓦の長手だけの段と、小口だけの段を一段おきに積む方式を「イギリス積」という。②、一段に煉瓦の長手と小口を……
連子窓(れんじまど)
細い角材を縦または横のみに並べた窓の形式を連子窓という。角材を縦に並べたものを、縦連子窓といい、横に並べたものを横連子窓という。多くは縦連子窓である。法隆寺の回廊にもみられる古くからある窓の形式である……
楼門(ろうもん)
社寺建築に用いられる楼形式の門。(二重門・にじゅうもんともいう)二階建てで、下層は屋根なし、上層は切妻造りの屋根をかけ、二階の縁には高欄が取り付く。屋根材料は特に定まっていない。間口が三間一戸のものは……
ロココ様式(ろここようしき)
Rococo style。1730年頃から1770年頃にかけて全欧に栄えた建築様式。ロココという語は、元来「ロカイユ(貝殻装飾)」を主要モティーフとする装飾様式を指す。主として教会堂や宮殿・邸館などの……
ロッジア(ろっじあ)
loggia。吹放し廊下。伊国で生まれた建築意匠の一つであり、ファサード に列柱或いは無柱で外に開かれた廊下を配したものを指す。「開廊」「涼み廊下」ともいわれる。
地上階にある場合は一般に「回廊」と……
ロマネスク様式(ろまねすくようしき)
Romanesque style。 10世紀末から13世紀にかけて西欧全土に広まった建築様式。聖堂は一般に「ラテン十字形」の「三廊 バシリカ 形式」をもち、その前の時代の平らな木造天井は、石造の「半円……
ロンバルドバンド(ろんばるどばんど)
Lombardo band。ロンバルディアバンドともいう。イタリアのロンバルディア地方で発生した「ロマネスク建築」に特徴的な壁面の装飾形式。
外壁の上部の縁の部分に規則的に付柱(ピラスター)を建て並……
わ
脇障子(わきしょうじ)
回り縁の終端に設けられた、板の事を脇障子という。古いものには、羽目板に極彩色の花鳥を描いたものや、薄肉の彫刻を貼り付けたものがある。邸宅で脇障子を取り付ける場合は、羽目板を良質な柾目の無垢板とする場合……
渡辺仁(わたなべじん、1887~1973)
東京都生まれ。東京帝国大学工科建築学科卒。古典主義から表現派建築・帝冠様式・初期モダニズムまでさまざまなでデザインを自在に使いこなし、記念碑的な作品が多い。作品には、ホテルニューグランド、早稲田小学校……
渡邊節(わたなべせつ、1884~1967)
近代日本の建築家で、古典主義をベースとした様式建築を自在に設計し、近畿を中心に商業ビルの秀作を多く残した。門下生に 村野藤吾 がいる。東京生まれ、東京帝国大学建築学科卒。鉄道院を経て独立大阪に設計事務……
輪垂木(わだるき)
輪違文様(わちがいもんよう)
輪を二つ以上組み合わせて作った模様の一種。二つ輪違、三つ輪違、四つ輪違などがある。棟瓦を積み上げた側面が輪違模様になるように半円形の瓦を上下互いに積むようにした瓦を輪違瓦という。
和様(わよう)
広義的に、日本の伝統的な様式・形式などを示す総称として使われる用語である。
飛鳥時代、中国の唐を中心とする様式が直輸入された初期のものに始まり、奈良時代を通じて徐々に国風化が進み、平安時代に入り、国……
藁座(わらざ)
禅宗様建築にみられる扉の軸受けの事を藁座と呼ぶ。禅宗様以前の建築様式では、下部は地覆長押に上部は長押に軸受けを設けていたため、藁座は必要なかったが、禅宗様式になると、地覆長押などの部材の幅が小さくなる……
蕨手(わらびて)
藁葺(わらぶき)
割束(わりづか)
割拝殿(わりはいでん)
平安末期ころに現れた拝殿の形式。横長の平面の中央を土間(馬道・めのどう)をとって通路としたもの。
亜麻組(あまぐみ)
「疎ら組(まばらぐみ)」とも呼ばれる。「和様」の建築およびその系統のものに見られ、柱上だけに「斗栱組」を配置し、柱間の「中備(なかぞなえ)」には、「間斗束(けんとづが)」や「蟇股(かえるまた)」を配す……
茨垂木(いばらだるき)
内法貫(うちのりぬき)
「和様」の建物にあって、「内法長押」の後方にある「貫」のこと。「内法貫」が横力に対する構造的役割を担い、「内法長押」は化粧材的な扱いと考えてよい。室町時代には、「内法貫」は壁の中に塗り込まれるようにな……
内法長押(うちのりなげし)
腕木(うでぎ)
裏甲(うらごう)
海老虹梁(えびこうりょう)
扇垂木(おうぎだるき)
「扇垂木」は、原始住宅にもすでに現われ、農家屋根の「垂木竹」や「四阿(あずまや)」にも見られる。また、宗教建築でも、最古の「隅扇垂木」の例が四天王寺に遺されている。
また、中国・韓国の場合は、みな「……
尾垂木(おだるき)
「二手先」「三手先」と組物を出すに従って、「丸桁(がんぎょう)」の支持が不安定となり、軒が下がる懸念が増すので「尾垂木」によって支えることが考案されたと見てもよいだろう。「尾垂木」は、柱芯を支点として……
鬼斗(おにと、いがと)
斗の一。上下で45°食い違った肘木をうける斗で、通り肘木などの交わる隅肘木・隅尾垂木の先端などに置かれる。正方形で方斗より大きい。特殊な繰型がつけられる場合もあり、その下面が菊花形であるものを菊斗とい……
丸桁(がぎょう、がんぎょう、まるげた)
寺社建築において斗栱の一番先の手先の上にある横材で屋根周りを支える。垂木を受ける軒桁のこと。奈良時代のものは断面が円形であったのでこの称がある。断面が角形でもいう。その形で時代の新旧がわかることもある……
頭貫(かしらぬき、ずぬき)
柱頂部に渡してある「貫」の一種である横架材のこと。飛鳥・奈良時代では、建物にかかる横力をあまり考慮せず、柱だけで自立する構造であったので、一般的に横架材は細く、また仕口も単純なものであった。法隆寺では……
茅負(かやおい)
木負(きおい)
「二軒」の軒裏の構成は、軒桁から「地垂木」を差し出し、その鼻先を少し控えて「木負」を通し、それに溝を彫って「飛檐垂木」を落し込み挺出(ていしゅつ)する。さらに「飛檐垂木」の鼻先を少し控えて「茅負(かや……
切目長押(きりめなげし)
雲斗・雲肘木(くもと・くもひじき)
現存する最古の組物は、いうまでもなく法隆寺の「雲斗・雲肘木」(雲斗栱)である。組物は、通常、水平に挺出(ていしゅつ)した「肘木(ひじき)」と、その上に乗って次の「肘木」や「丸桁(がんぎょう)」を受ける……
雲斗栱(くもときょう)
虹梁(こうりょう)
「二重虹梁式架構」の場合、下の大きい方を「大虹梁」、上の小さい方を「二重虹梁」と呼ぶ。また、寺院建築の「外陣」の「柱」を省いたところに用いる梁も「大虹梁」といわれる。
「繋虹梁(つなぎこうりょう)」……
腰長押(こしなげし)
小天井(こてんじょう)
余談である。「小天井」の呼び方に似たものとして「小壁(こかべ)」という言い方がある。その他、建物に関して「小(こ)」を接頭語に冠する言葉はたくさんあるので列記しておく。
「小穴(こあな)」、「小板(……
小間返し(こまがえし)
笹繰(ささぐり)
飛鳥・奈良時代の「和様」や「禅宗様」に見られる細部意匠である。「肘木」の上に乗る、手前と手先の「斗」の間の、その上端を、見附が「笹の葉」のような形に、斜めに抉って見せる、繊細な細工のこと。肘を張って持……
鯖尻(さばじり)
皿斗(さらと)
地円飛角(じえんひかく)
平安時代以降の「和様」の基本は、両方とも角材を用い、「地角飛角」と変化する。只、古代の形式を採用することもあり、室町時代にもその違例はある。「地円飛角」が用いられているのは、奈良時代のものとしては、薬……
地垂木(じだるき)
繁垂木(しげだるき)
「繁垂木」は、ある程度格式をもった建物に用いられるのに対し、格式を下げる場合、或いは住宅系の場合は、垂木のピッチを広げる傾向にあり、明きの大きいものを「疎垂木(まばらだるき)」といい、さらに明きを広げ……
鎬(しのぎ)
地覆長押(じふくなげし)
錫杖彫(しゃくじょうぼり)
菖蒲桁(しょうぶげた)
隅扇垂木(すみおおぎだるき)
背返し(せがえし)
袖切(そできり)
厚みを持った「虹梁」を、「柱」に取り付く付近を斜めに切り取って納めるが、その部分のことを「袖切」と呼ぶ。そして、「柱」に取り付く付近の上方の孤形をなす出張った部分のことを「鯖尻(さばじり)」、下端に刳……
大斗(だいと)
斗組(ますぐみ)のなかで、最下にあって「斗栱」全体を受ける最大の「斗」のこと。一般には、柱頂部または「台輪」や「皿斗(さらと)」を隔てて据えられる。「斗」の上方の「肘木」を含む部分またはその深さを「含……
大斗肘木(だいとひじき)
台輪(だいわ)
柱頂部と「大斗」の間に入る横架材で、「頭貫」と合わせて構造的役割を担う幅広の厚板の部材のこと。
「和様」の「多重塔」に、古くからその使用が認められることは、あまり知られていないかもしれない。最古の法……
繋虹梁(つなぎこうりょう)
出組(でぐみ)
屋根を支える軒桁(丸桁)を前に出して、柱心から軒先までの出を深くする手法の一。柱上の出三斗を受ける大斗から壁面とは直角に枠肘木の一つを前方へ突出し、この上に壁面と平行に軒桁を承ける平三斗を載せたもの。……
天狗垂木(てんぐだるき)
天井長押(てんじょうなげし)
土居桁(どいげた)
通肘木(とおしひじき)
通し貫(とおしぬき)
斗栱組物(ときょうくみもの)
柱頂部にあって、軒の出を支える架構装置の総称である。基本は、方形の「斗(ます)」と「栱(ひじき)」(すなわち「肘木」のこと)という、単純な二材の組合せによって構成される。
先ず、柱上に「大斗(だいと……
斗繰(とぐり)
土庇(どびさし、つちびさし)
地面に柱を立て、深く張り出させた庇で、独立した柱・桁で支えられている。吹放ちで床は張られず、農家住宅では庇下は縁側に代わる縁空間として農作業の場ともなる。茶室や数寄屋建築などでは玄関入口通路や歩廊とさ……
長押(なげし)
「長が押し(ながおし)」の略。実は、中国・韓国には「長押」に相当する部材は無く、我が国独自に発達したものであるといわれる。
飛鳥奈良時代の木造建築の柱には、柱頭に落し込まれた「頭貫(かしらぬき)」と……
野物(のもの)
野屋根(のやね)
配付垂木(はいつけだるき)
鼻隠(はなかくし)
桔木(はねぎ)
日本の「和様」では、下から見える化粧材としての軒天と、その上に見えていない「野物(のもの)」と呼ばれる構造材とが、平安時代末期ごろに分離して、それぞれ別々に構成されるようになる。すなわち、その後、屋根……
飛檐垂木(ひえんだるき)
肘木(ひじき)
形状・繰形のそれぞれの特徴を列記してみる。「和様肘木」は、「肘木」の下端の繰り上げ曲面が、「木口(切り口)」のところで縦に切られているのが最も分かりやすい特徴である。法隆寺の建物は、「肘木」の上端に「……
菱曲をとる(ひしぐせをとる)
飛貫(ひぬき)
吹寄垂木(ふきよせだるき)
二軒(ふたのき)
上下二段で出の異なる垂木からなる軒。社寺建築にみられるもので、上段を飛檐垂木、下段を地垂木という。二軒に対して、地垂木のみからなるものを一軒という。飛檐垂木が二段となるものは三軒というが、例は少ない。……
舟肘木(ふなひじき)
「舟肘木」は、仏堂よりも神社・宮殿・方丈・住宅などに用いられることが多い。東福寺塔頭方丈である「龍吟庵」(現存する日本最古の方丈建築)にも用いられているが、開口部を広げた北側の室のそれは、「添え梁」の……
平行垂木(へいこうだるき)
方斗(ほうと)
巻斗(まきと)
疎垂木(まばらだるき)
三斗(みつど)
面戸(めんど)
持送り(もちおくり)
社寺建築における「持送り」の典型的な例は、「東大寺二月堂」に見られる三段構えの豪壮なものである。他にも、「吉備津神社」の、船の姿を模したような、「縁」を受ける「持送り」も、象徴的であり一間の価値がある……
遊離尾垂木(ゆうりおだるき)
輪垂木(わだるき)
割束(わりづか)
槓杆(こうかん)
建築家・著名人の生年表
- 1823勝海舟
- 1824A.ブルックナー、B.スメタナ
- 1825岩倉具視、J.シュトラウスⅡ
- 1826
- 1827小栗上野介忠順
- 1828西郷隆盛
- 1829立石清重
- 天保元年1830大久保利通、吉田松陰
- 1831孝明天皇
- 1832
- 1833木戸孝允、Y.ブラームス
- 1834近藤勇、E.ドガ
- 1835岩﨑弥太郎、福沢諭吉、土方歳三、C.C.サンサーンス
- 1836五代友厚、坂本龍馬
- 1837徳川慶喜、板垣退助
- 1838大隈重信、山縣有朋、T.B.グラバー
- 1839E.A.バスティアン、P.セザンヌ、高杉晋作、B.ビゼー、M.ムソルグスキー
- 1840渋沢栄一、C.モネ、P.チャイコフスキー、A.ロダン
- 1841伊藤博文、P.A.ルノアール、A.ドヴォルザーク
- 1842T.ウォートルス
- 1843D.C.グリーン、E.グリーグ
- 弘化元年1844H.ルソー、R.コルサコフ
- 1845G.フォーレ
- 1846W.R.ミード
- 1847C.F.マッキム、T.エジソン
- 嘉永元年1848P.ゴーギャン
- 1849西園寺公望
- 1850
- 1851
- 1852ジョサイア・コンドル、明治天皇、アント二・ガウディ
- 1853曽禰達蔵、片山東熊、S.ホワイト、V.V.ゴッホ、フェノロサ、北里柴三郎
- 安政元年1854辰野金吾、R.ゼール
- 1855
- 1856河合浩蔵、佐立七次郎、浅井忠、L.サリヴァン
- 1857J.ガーディナー、新家孝正、E.W.エルガー
- 1858山口半六、J.プッチーニ
- 1859妻木頼黄、坪内逍遥
- 万延元年1860A.ミュシャ、G.マーラー、I.パデレフスキー
- 文久元年1861R.シュタイナー
- 1862G.クリムト、C.ドビュッシー、森鴎外、岡倉天心
- 1863茂庄五郎、葛西萬司、E.ムンク
- 元治元年1864横河民輔、宗兵蔵、R.シュトラウス
- 慶応元年1865モイセイ河村伊蔵、J.シベリウス
- 1866遠藤於菟、R.エストベリ、W.カンディンスキー、E.サティ、孫文
- 1867長野宇平治、フランク・ロイド・ライト、伊東忠太、夏目漱石、正岡子規、幸田露伴、E.グラナドス、A.トスカニーニ
- 明治元年1868山下啓次郎、中條精一郎、C.R.マッキントッシュ、P.ベーレンス、尾崎紅葉、原三渓
- 1869野口孫市、矢橋賢吉、森山松之助、H.マティス
- 1870鈴木禎次、桜井小太郎、アドルフ・ロース、西田幾多郎、鈴木大拙、V.レーニン
- 1871国木田独歩、J.W.メンゲルベルク
- 1872武田五一、G.D.ラランデ、P.モンドリアン、島崎藤村、樋口一葉
- 1873松室重光、小林一三、S.ラフマニノフ、与謝野鉄幹
- 1874A.シェーンベルク、W.チャーチル
- 1875日高胖、柳田國男、M.ラヴェル、F.クライスラー
- 1876片岡安、野口英世、B.ワルター、P.カザルス
- 1877大熊喜邦、保岡勝也、H.K.マーフィー
- 1878佐藤功一、与謝野晶子、I.スターリン
- 1879吉武長一、國枝博、田辺淳吉、大江新太郎、永井荷風、滝廉太郎、A.アインシュタイン、O.レスピーギ、P.クレー、大正天皇
- 1880B.タウト、W.ヴォーリズ、佐野利器、葛野壮一郎、中村輿資平、江川三郎八
- 1881置塩章、P.ピカソ、B.バルトーク
- 1882久野節、本野精吾、小川安一郎、青木繁、I.ストラヴィンスキー、F.ルーズベルト
- 1883岡田信一郎、阿部美樹志、W.グロピウス、志賀直哉、V.ターリヒ、B.ムッソリーニ
- 1884木子七郎、渡邊節、安井武雄、西村伊作、薬師寺主計、山田醇、M.モディリアニ
- 1885内田祥三、長谷部鋭吉、波江悌夫、E.G.アスプルンド、武者小路実篤
- 1886内藤多仲、ミース・ファン・デル・ローエ、西村好時、石川啄木、山田耕作、谷崎潤一郎、W.フルトヴェングラー
- 1887渡辺仁、ル・コルビュジェ、E.メンデルゾーン、M.シャガール、小出楢重、A.ルービンシュタイン、蒋介石
- 1888A.レーモンド、藤井厚二、矢部又吉、G.T.リートフェルト、山下寿郎、竹腰建造、J.V.W.バーガミ二―、今和次郎、A.サンテリア、G.D.キリコ、菊池寛、九鬼周造、F.ライナー
- 1889遠藤新、山川逸郎、笹川慎一、L.ヴィトゲンシュタイン、和辻哲郎、A.ヒトラー
- 1890小林正紹、中村鎮、E.シーレ、E.クライバー
- 1891村野藤吾、野田俊彦、ジオ・ポンティ、S.プロコフィエフ、C.ミンシュ、近衛文麿
- 1892高橋貞太郎、本間乙彦、古塚正治、前田健二郎、R.ノイトラ、芥川龍之介
- 1893岩﨑平太郎、岩本禄、C.クラウス、毛沢東
- 1894吉田五十八、吉田鉄郎、山田守、石本喜久治、平林金吾、平松英彦、P.へニングセン、K.ベーム
- 1895今井兼次、清水英二、堀口捨己、蔵田周忠、森田慶一
- 1896伊藤正文、重森三玲、宮沢賢治
- 1897土浦亀城、池田谷久吉、G.セル
- 1898アルヴァ―・アアルト、M.コッホ
- 1899岸田日出刀、佐藤武夫、川端康成
- 1900大倉三郎
- 1901坂倉準三、ルイス・カーン、Y.ハイフェッツ、昭和天皇
- 1902山口文象、ルイス・バラガン、M.ブロイヤー、A.ヤコブセン
- 1903棟方志功、金子みすゞ、A.ハチャトゥリアン、V.ホロヴィッツ、E.ムラヴィンスキー
- 1904谷口吉郎、G.テラー二、S.ダリ、堀辰雄
- 1905白井晟一、前川國男、A.シュペーア、A.クリュイタンス
- 1906カルロ・スカルパ、P.ジョンソン、D.ショスタコーヴィッチ
- 1907B.マットソン、C.イームズ、中原中也、湯川秀樹
- 1908吉村順三、東山魁夷、H.V.カラヤン、D.オイストラフ/span>
- 1909浦辺鎮太郎、太宰治、古関裕而
- 1910E.サーリネン、黒澤明、R.ケンペ
- 大正元年1911森有正
- 1912ミノル・ヤマサキ、フィン・ユール、剣持勇
- 1913丹下健三、岩本博行、大江宏、E.B.ブリトゥン
- 1914増田友也、立原道造、H.ウェグナー
- 1915西澤文隆、H.ベルトイヤー、柳宗理、S.リヒテル
- 1916
- 1917吉阪隆正、I.M.ペイ、D.リパッティ
- 1918清家清、芦原義信、天野太郎、P.ルドルフ、L.バーンスタイン
- 1919P.ソレリ
- 1920池辺陽、R.ジョゴラ、B.ミケランジェリ
- 1921長大作、A.マンジェロッティ
- 1922広瀬鎌二、石井修
- 1923大高正人
- 1924大谷幸夫、高橋靗一、横山公男、安倍公房、K.ノーランド
- 1925増沢洵、篠原一男、内田祥哉、山本忠司、C.ムーア、R.ヴェンチューリ、三島由紀夫
- 昭和元年1926鬼頭梓、J.スターリング
- 1927山本忠長、中村昌生、M.ロストロポーヴィッチ
- 1928菊竹清訓、槇文彦、池原義郎、林雅子、林昌二、池原義郎、岡田新一、阪田誠造、S.ルウィット
- 1929降籏廣信
- 1930C.クライバー、武満徹
- 1931磯崎新、出江寛、武藤章、アルド・ロッシ
- 1932川崎清
- 1933内井昭蔵、東孝光、平成天皇
- 1934黒川紀章
- 1935山崎康孝、柳沢孝彦、大江健三郎、小澤征爾
- 1936原広司、宮脇檀、C.アレグザンダー
- 1937香山壽夫、藤本昌也、山下和正
- 1938渡辺豊和
- 1939
- 1940益子義弘、室伏次郎
- 1941安藤忠雄、伊東豊雄、黒沢隆、早川邦夫、六角鬼丈、永田昌民
- 1942M.ポリーニ
- 1943黒川哲郎、坂本一成
- 1944
- 1945村田靖夫、山本理顕
- 1946藤森照信