薬医門

(やくいもん)

鎌倉時代末期か室町時代初期の、武家または公家の屋敷などに現れる門形式の一。「本柱」と「控柱」に荷重が分散され構造上の安定が得られるためか、或いは施工性に優れていたのか、後に城郭や社寺にも広く使われるようになる。棟の芯と、本柱の芯をずれているのが特徴で、妻側に回ってみれば、一見してそれとわかる。
本柱(角柱)と控柱(角或いは円柱)に、肘木である女梁(めうつばり)に下支えされた、腕木である男梁(おうつばり)を架け、その上に本柱とは芯をずらして板蟇股や束立てなどを乗せ、棟木を受けるところに特徴がある。(急峻で巨大な「板蟇股」を時折みかけることができる)規模の大小はさまざまで、高台寺表門のような、桃山時代の堂々たる例もある。
屋根は、一軒の切妻破風造の門がほとんどであるが、入母屋造の場合もある。また、切妻ではなく平唐門風の「唐薬医門」もある。
一説には、元は門扉がなく「病人の往来を妨げない」ことの表明として、医師の門に使われたとも言われる。しかし通常は、上六分を竪連子、下四分は横板とした両開き戸とするが、閂(かんぬき)は通さない。
門の格式としては、棟門・唐門・上土門より下で、平門・冠木門より上とされる。