アールデコ様式

(あーるでこようしき)
西洋建築の様式・思潮
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Art Dēco。1925年に開催された「パリ万国装飾美術博覧会」を契機にして流行した様式。一般に、「アールヌーヴォー」の時代に続き、欧州および米国のニューヨークを中心に1910年代中葉から1930年代にかけて流行・発展した装飾の一傾向で原義は「装飾美術」。幾何学的図形をモティーフにした記号的表現や、原色による対比表現などの特徴を持つが、その装飾の度合いやようしきは多様である。
「キュビズム」「バウハウス」のスタイル、当時発掘が相次いだ古代エジプトの装飾模様、アステカ文化の装飾、日本や中国など東洋美術など、古今東西からのさまざまな引用や混合が指摘されている。世紀末のアールヌーヴォーは、植物などを思わせる曲線を多用した有機的なデザインであったが、自動車・飛行機や各種の工業製品、近代的都市生活といったものが生まれた時代への移り変わりに伴い、進歩した文明の象徴である機械を思わせる、装飾を排除した機能的・実用的なフォルムが新時代の美意識として様式化した。アールデコは、装飾を排除し規格化された形態を重視する機能的モダニズムの論理に合わないことから、流行が去ると過去の悪趣味な装飾と捉えられる。従来の美術史「・デザイン史では全く評価されることはなかったが、1966年にパリで開催された「25年代展」以降、モダンデザイン批判・ポストモダニズムの流れの中で、再評価が進められてきた。アールデコ建築としては、1930年代のニューヨークの摩天楼(クライスラービル・エンパイアステートビル・ロックフェラーセンターなど)が有名である。