向拝

(こうはい、ごはい)

日本の社寺建築は、古くはその平面が簡単なものであり、立面の正面・背面も同じような姿であった。ところが平安時代前期ころから、おそらく住宅系の住要求からか、神社建築の祭祀上の都合が影響したのか、神社本殿前方の、階段の上方の屋根が延びてくるものが現れる。これが「向拝」である。また、妻入りの社殿に本屋とは切り離されて屋根を設けたものを「差掛屋根」という。前者が「春日造(かすがづくり)」や「流造(ながれづくり)」と呼ぶ本殿形式となる。おそらく仏堂における「向拝」の採用は、その影響にあるものと考えられる。
「向拝」の形式は、韓国や中国には見られず、日本独自のものであるとされている。さらには「向拝」から発生する「手挟(たばさみ)」という装飾部材も日本しかないものである。
和様」の主要な「柱」は「円柱」であるが、附属建造物である「向拝」の「向拝柱」は、「角柱」とし、いわゆる格を下げる配慮をする。また本屋の方は「繁垂木」とし、「向拝」を「疎垂木」とするのも同様の理由による。