猪の目

(いのめ)

「猪の目」とは、形状そのままに「心臓型(ハート型)」とも呼ばれる文様のこと。建物の「妻飾」の「懸魚」や錺金物の「六葉・八双」、巫女の持つ「神楽鈴」など、さまざまなところに見つけることができる。「猪の目」をずらして重ねたものを「瓢箪猪の目」と呼び、合せて用いられることも多い。
因みに、中国の陰陽五行では、十二支の猪(亥)は「水」の属性に当たる。また「瓢箪」も水の容器であることから、「火除け」のまじないに関わる文様と意識されていたものとも思える。
「心臓型(ハート型)」がなぜ「猪の目」なのかに定説はない。猪の眼の形というのは論外であろう。ある説によれば、「猪目懸魚」の形自体が正面から見た猪の顔に見え、その眼にあたる部分が、たまたま意匠的に「心臓型」をしていたことに由来するという。いかにももっともらしく聞こえるが、定説化はしていない。
ただ「蟇股」にも、眼・肩・脚・腸(はらわた)と呼ばれる部位があり、あながち奇説とも言い切れない。