雲斗・雲肘木

(くもと・くもひじき)

現存する最古の組物は、いうまでもなく法隆寺の「雲斗・雲肘木」(雲斗栱)である。組物は、通常、水平に挺出(ていしゅつ)した「肘木(ひじき)」と、その上に乗って次の「肘木」や「丸桁(がんぎょう)」を受ける「斗(ます)」が乗り、それを数回繰り返すのが原則である。しかし、「雲斗栱」は「肘木」と「斗」を一体化し、雲形の装飾を施した、巨大な一枚板でつくられている。形式的には「二手先(ふたてさき)」の簡略形とみなされる。法隆寺とその近くの法起寺にのみ遺されている、極めて特殊な組物である。(四天王寺も、もとはこの形式であったともいわれている。)当時の隋あるいは百済で用いられていたのかもしれないが、確証は全くない。聖徳太子が、雲に乗って大陸にまで遊行したという伝説が残っている。太子と雲との、何らかの因果関係を表しているのかも知れない。
尚、法隆寺金堂の「雲斗栱」にだけは、外側の曲線に沿って、側面に渦のような「筋彫」が施してあり、また「肘木」の下面に「舌(ぜつ)」と呼ばれる出っ張りが刻んである。それらは、この建物が特別なものであることを物語っている。