国際様式

(こくさいようしき)
西洋建築の様式・思潮
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International style。インターナショナル様式。近代建築の多様な動向のうちで、個人や地域の特殊性を越えて、世界的に共通な様式へと向かっているもの。個々の建築家により、その主張や作風に幾分かの違いがあるが、1920年代から50年代頃までの近代建築の主流をなす合理主義的造形様式をいう。1925年W.グロピウスが バウハウス 叢書の一冊に「国際様式」を著し、早くもこの様式傾向を指摘し、その後H.R.ヒッチコックとP.ジョンソンがニューヨーク近代美術館での近代建築展に際し、「国際様式(1932)」なる書を著し、この言葉を定着させた。
ここで挙げる国際様式の特色とは、「装飾の排除」、「シンメトリーよりバランスの重視」、「量感より空間感覚で建築を捉えていくこと」の三点に要約される。その他の点では、建築家の個人差も、国や風土の違いからくる造形感覚の違いも否定するものではない。1930年代を過ぎると画一的な国際建築様式が多様化していく。しかし、国際様式が工業化時代の建築の主流を指していうなら、少なくとも1950年代までの建築まで含めてよい。代表作を挙げれば、W.グロピウスのシカゴ・トリビューン国際コンペ応募案(1922)、J.J.P.アウトのフック・ファン・ホランド集合住宅(1922)、ル・コルビュジェ のサヴォイ邸(1931)、A.アールトのパイミオのサナトリウム(1933)など戦前の作品、O.サーリネンのGM技術センター(1955)、ミースのレイク・ショア・ドライブアパート(1957)など第二次世界大戦後の作品が含まれている。