柱頂部と「大斗」の間に入る横架材で、「頭貫」と合わせて構造的役割を担う幅広の厚板の部材のこと。
「和様」の「多重塔」に、古くからその使用が認められることは、あまり知られていないかもしれない。最古の法隆寺五重塔では、初層だけにあって上層には用いられていないが、薬師寺三重塔(東塔)では、全層に用いられている。
本来は、柱頂をつないで横揺れを防ぐことと、「大斗」の安定をよくするために用いられた。奈良時代には、薬師寺三重塔のように、隅の納めを、一方を二枚歯とし、片方を一枚歯として挟み込んだ「三枚組」とするが、後には當麻寺東塔の場合、見え掛かりを「留(とめ)」納まりとし、内側で「三枚組」にする方法に変わる。実に細やかな納め方で、拘りのほどがよくわかる。
鎌倉時代に入り、「禅宗様」が導入されると、構造的な意味合いから、太くされた「頭貫」の上部に、隅柱部で「相欠き」納まりとした、いわゆる「台輪組」が設けられるようになる。こちらの方はよく知られている。「禅宗様」のみならず、宗派を問わず「和様」にも多く用いられ広まっていくのである。
「頭貫」の「木鼻」と連動し、「台輪」にもまた繰型が施され、装飾化が発展していく。
台輪
(だいわ)
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